商業ビルの管理団体の収入は課税されるのか!?【税務調査】

2014-12-17
今回は 商業ビル管理団体である納税者が 収益事業から生じた所得を 得ているとして 税務署から法人税の決定処分と無申告加算税の 処分をされたことに対して その取消を求めて 争った裁判です。 なお、この商業ビルは 区分所有建物であり 納税者である管理団体は この区分所有者全員から 構成されています。 マンションもこれに該当します。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【納税者】は、 納税者の活動は そのすべてが構成員である 区分所有者の意思に基づくものであり、 法人税法で規定する 人格のない社団等に 該当しない。 仮に 人格のない社団等に 該当するとした場合であっても 建物の共有部分から生じた利益は 区分所有法19条や管理規約から 各区分所有者が 収取するとされており、 納税者に帰属するものではない。 そもそも 税務署が収益事業に該当するとした 事業のすべてが 管理規約1条の定める 「ビル全体の調和と繁栄をはかる」 という目的達成のために 付随して実施しているものであり 収益を目的とした 行為でないことは 明らかである。 仮に 収益事業にかかる収入であるとしても 個別事業についての 直接費用を認めるべきであり、 また、大規模修繕積立金会計の収入は 区分所有者からの積立金と 各事業年度に 発生した 管理業務会計と 共有部分にかかる利用業務会計の余剰金から 振り替えた収入で 構成されており、 これらの支出は 管理業務と利用業務で発生する 保守と営繕の追加として 計画に基づき実施されているものであるので 収益按分の対象になる と主張した。 【税務署】は、 納税者は 代表の方法、総会の運営、財産の管理 その他団体としての 主要な点が確定している団体とはいえ、 人格のない社団等に 該当する。 そして、建物の共有部分から 生じる利益は 納税者に帰属する。 収益事業として 認定した各事業は 各々不動産貸付業、駐車場業、請負業に 該当し、 すべて収益事業になる。 管理業務会計と利用業務会計の費用については 明確に各収益事業に対する費用として 収益事業と収益事業以外の事業との 区分経理がされていないため、 収益事業に直接要した費用の額と 収益事業と収益事業以外の事業に対して 共通に要した費用の額のうち 収益事業に対応すべきものについては それぞれの費用の性質に応じた 合理的な基準による 区分計算を することとなる。 一方、大規模修繕費は 本件建物の大規模修繕にかかる費用であり 収益事業にかかる 費用ではない と主張した。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── どちらの主張が 正しいのでしょうか? いきなり、裁決を見るのではなく これはどういう判決になるか すこし考えてみてください。 税務というと 決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、 そもそも税法に則った判断処理のこと なのです。 その判断処理を間違えると 払う必要のないキャッシュが 会社から失われてしまう可能性があります。 この判断処理を 今まで間違っていた納税者の割合や なんと7割以上(国税庁のHPより) 判断処理 大丈夫ですか? 本来の裁判判決は 難解で読むづらいものになっていますので、 読みやすいように多少 書き換えています。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【裁判官の裁決】は、 納税者は 人格のない社団等の成立要件である 5要件を満たしており 「人格のない社団等」に 該当する。 建物の共有部分等から 生じる利益は 区分所有者集会の決議等により 団体内で これを区分所有者に分配されること 並びにその金額と時期が 決定されてはじめて 区分所有者に 具体的に公使可能な支分権としての 収益金分配請求権が 発生すると 解される。 その一方、 上記請求権が発生する以前の利益については 区分所有者の団体である 納税者に帰属するのと同様の 取扱いをすべきである。 収益事業該当性の判断においては その事業の目的ばかりでなく その内容、態様等の 諸事情を 社会通念に照らして 総合的に検討すべきである。 各収入について 政令に定められた事業は 収入に該当し その態様から継続して 行われていると 認められる場合は 収益事業と解すことが 相当である。 上記事業に該当せず、 実態として 納税者が徴収する管理費による収入と 同様の性質を 有するものと解されるものは 収益事業の収入とは 認められない。 管理業務会計と利用業務会計の費用については それぞれの費用を分類し その分類に応じて 合理的な基準により 各収入に費用を配賦するのが 相当である。 大規模修繕積立金会計から 支出された修繕費については 納税者の各会計の合計した すべての収入から 支出される 共通費用と見るのが 相当である。 以上を計算した結果、 すべての事業年度において 費用の額が収入の額を 上回ることとなり これらの金額に基づいて 所得金額を計算すると 各事業年度において 課税所得は発生せず 納付すべき法人税額と無申告加算税の額もないから 本件処分は すべて取り消すのが相当である とした。 「平成21年11月11日裁決」 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 区分所有者の団体である管理団体は 法人登記をしていないから 法人税の 納税義務はないと 考えがちです。 しかし、 人格のない社団等の5要件を 満たしていれば 収益事業を行えば 法人税を 支払うことになります。 今回も 結論として 収益事業に該当するとされましたが、 計算において 課税所得が発生しなかったため、 法人税額と無申告加算税の額は 取り消されただけ でした。 ここで どういう収入が 収益事業になり どういう収入が 収益事業にならないのかという 判断に 困るところです。 収益事業になるものとしては、 運送業者等から徴収する荷捌場使用料、 PHS・携帯電話基地局使用料、 有線放送配線使用料、 公衆電話設置手数料、 NTTの通信施設への電力供給料、 入居者以外の者に対して有償で使用させているもの 収益事業にならないものは、 入居者限定の駐車場、会議室、壁面の広告枠、 倉庫の使用料、 共用トイレの清掃費 政令で定められたものでないため 収益事業に該当しないものとして、 冷却水使用料、 時間外空調使用料、 臨時電力使用料、 スプリンクラー水抜料などが あります。 最近では 修繕積立金等のために 空いている駐車場を 入居者以外に 貸し出す 管理団体も あるようですので 気をつけてください。 ご相談、ご不安なことが ありましたら、 お気軽に 中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。
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