節税するためには
節税とは、税法の想定する範囲で税負担を減少させる行為のこと
利益の繰延行為等 棚卸資産の評価方法を有利な方法とする(陳腐化を反映しやすい最終仕入原価法を用いるなど)
減価償却方法を有利な方法とする(定額法ではなく定率法を用いる事により費用計上時期を早めるなど)
収益の発生時点を遅い時点にする(発送基準ではなく検収基準などを使う、長期割賦販売は繰延基準を使う、など)
保険商品等を用い、損金計上と益金計上の時期を調整する(例えば倒産防止掛金は全額費用計上する事が可能で、返戻時に全額収益計上する事が可能である)
製造原価に含めずに済む費用を、製造原価から外す(例えば営業外費用、特別損失、販売費、一般管理費とするなど)
棚卸資産の付随費用を3%以内とする
一定の租税公課は棚卸資産や償却資産に含めず経費とする事ができる
貯蔵資産の見積売価を低くする(第三者から見積書等を取得して計上するが、その場合に最低価格をつけたものを用いるなど)
取引先と覚書などを交わすか申告期日までに相手に売上割戻し額を通知して、売上割戻しに算定基準を使う
10万円未満の減価償却資産は小額減価償却資産として全額を損金計上できる。10万以上20万円未満では3年での償却ができる。
青色申告を行う中小企業者等の場合で、年間300万円以内であれば、30万円未満の減価償却資産は、小額減価償却資産特例を用いて全額を損金計上できる。
20万円以内または3年以内ごとの修繕を行なうことで固定資産の取得価額の増額を避けて損金扱いできる
掛け捨ての保険契約等により損金にする
契約期間が一年未満の賃借契約や掛捨て保険契約であれば支払済の全額を当期の損金に計上して差し支えない
ある程度資金的に余裕のある会社だと、 「おカネを先に払うからさ、その分経費で落ちないかねえ?」というような話が出ることがあります。
通常はこれからサービス等を受ける分に対する支払いは、いくら先払いをしても「前払金」「前払費用」とされ、すぐに費用にはなりません。
しかし税務上、「短期前払費用」という特例制度があり、このような前払費用のうち、支払った日から1年以内に役務提供を受けるものについては、支払った年度ですべて損金処理することできるのです。
例えば、保険料や家賃を1年分支払ったとしても、決算時に以降の分も含めて1年分を支払時の損金とすることが出来ます。 ただ、この「短期前払費用」の制度は、黙っていても翌期に損金となるものを前倒して損金とするだけのことです。
その繰延効果はたった1期間。つまり今期の経費となるのか、それとも翌期の経費となるのかといったタイミングの違いでしかなく、節税の効果はほとんどありません。
またこの制度は継続して適用しなくてはならないこともご注意下さい。
決算当月の費用であれば、しっかりと未払計上をする(社会保険料や水道光熱費・通信費等) 一定の租税公課は資産の取得価格に含めず経費とする事ができる
役員賞与をやめて月額報酬を増額する
社長の家族は会社役員ではなく使用人とすることでその賞与も損金算入とする
役員から土地を借りる時は「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出して地代を損金とする
会社の経費となる社宅を利用する
役員や従業員に対する慶弔見舞金を世間並みにする事で福利厚生費という損金にする
出張費を世間並みにする事で旅費交通費等の損金にする
税法上の交際費を低減させる
交際費相当額を使用人への渡切交際費として支給する
5000円/人以下の飲食費は、税法上の交際費から除外する規定がある(当方及び相手先の氏名、人数等を詳細に記載する必要がある)
接待用施設の購入は取得と維持に要する全てが交際費以外の費用となる
招待旅行では取引に関する会議を開くことで宴会以外の宿泊費や交通費を会議費とする
使途秘匿金を無くす(使途不明金のうち秘匿を要する支出は、法人税法の懲罰的規定により、課税所得に重加算される事となっている)
資本金が小さい中小法人の法人税率は二段階累進税率であり軽減税率が設けられている
赤字子会社への一定限度までの寄付によって親会社の損金を増やす
親子会社の決算日をずらす事で税金対策の期間を設ける
子会社からの配当金による親会社への資金移動は益金不算入である
事業年度の開始以前に青色申告承認申請書を提出し青色申告による各種特典を受ける
設備投資に対する特別償却
設備投資等をした場合、その取得価額を耐用年数(利用可能年数)にわたってそれぞれ減価償却費として損金算入します。 しかし一定の要件を満たした場合には「通常の減価償却費」を超えて「特別償却」としてさらに割増の減価償却を行うことが出来るのです。
ただし、この「特別償却」は、近い将来の減価償却費を「先食い」しているだけです。結果的に特別償却を利用しなかったときに比べると後になって減価償却費が少なくなるので利益が大きくなるのです。
小規模企業共済
小規模企業共済とは、中小企業の役員や個人事業主が退職や廃業した後の生活資金を準備しておくため国が運営する共済制度です。
この制度にはこんなメリットがあります。
【払うときのメリット】 掛け金が全額控除 掛け金は全額所得から引くことができ、最大で年間84万円控除できます。
【受け取るときのメリット】 退職金や年金として税金の恩恵が! 役員を退職したり事業を廃止した場合、この共済金を受け取るには2つの方法があります。
一時金で受け取る:退職所得扱いとなり、税金が軽減されます。
分割で受け取る:公的年金控除の適用があり、やはり税金が軽減されます。
これは国が「小規模事業者の老後の資金の準備を促進する」という政策的な配慮により行われています。
そのため租税回避のリスクもなく効果は安定的です。
それに多くの民間生命保険よりも受取金額、支払金額に対する必要経費算入額が大きいので圧倒的に効果は大きいと言えます。
役員社宅を使って自宅の支払利息や固定資産税、さらに減価償却費まで損金にする
分社経営
分社とは、要するにもう一つ会社を興し、一部の事業をその新会社で行うということです。
分社のメリット・デメリットは次のとおりです。
【メリット1】 消費税の節税 分社が可能であれば、そちらの会社に一部売上を振り分けることにより消費税が節税できます。
【メリット2】 軽減税率が両社で適用可
中小企業者等が機械を取得した場合の特別償却又は税額控除(中小企業投資促進税制)などの一定の設備投資をした場合などに税額そのものを控除する制度です。
従業員社宅の活用
30万円未満資産の即時償却 新たに設立された法人で、資本金が一千万円未満などの要件を満たすものは、最大2年間消費税免税事業者である
基準期間の課税売上高が五千万円以下の場合だと、簡易課税を選択できるが、一般課税のままより税額が低い場合がある
翌期に大型の設備投資を予定している場合には、決算日までに一般課税の課税事業者になる届出をすることで還付を得られるケースがある
簡易課税の場合で、通常の仕入商品の売上は小売の第2種だが、相手先が事業者である場合には卸売の第1種とすることができ、概算の仕入税額控除を大きくできる。
簡易課税の場合で、建設業者等(第3種)が仕入商品を売り上げた場合に、納品等であると別途明記する事により、小売の第2種や卸売の第1種とすることができる。
印紙は、金券ショップ等の再販売業者で購入する事で、課税仕入となる。
このように節税の手法は数多くあります。 しかし、業種や会社規模などによって使える節税と使えない節税があります。
実際に使用する際は、専門家などに相談してください。