売上伝票を破棄している場合は税務署に金額を推計される!?【税務調査】
2014-10-28
飲食業を営む原告は
従業員等が店舗で使用していた一綴りの売上伝票に
品名及び単価等を記載すると
筆圧痕として
次の伝票に当該記載内容が残る場合があるところ、
筆圧痕に対応する売上伝票のうち
数枚が存在しなかったり
従業員等が売上伝票を集計し、
売上伝票を入れる封筒の表に
その日の売上金の合計額等を記載すると、
封筒内の売上伝票等に筆圧痕として
合計額が残ることがあるところ、
筆圧痕の金額が売上げとして
原告が記帳した金額を上回ることなどから
原告は、売上伝票を破棄する方法により売上除外しているとして
税務署が事業所得の金額及び課税売上高を推計して
更正処分を行ったことに対して
違法な調査による処分であるから
すべての処分を取り消すよう争った
事案です。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
【原告】は、
税務署の取消原因となる違法な調査が行われた
偽りその他不正の行為とされた事実に誤認がある
原処分庁の推計方法は最適な方法でない
などとして、
これらの処分の全部の取消しを求めた。
【税務署】は、
売上金額の一部を除外するなどの
偽りその他不正の行為に基づく
過少な申告をしていたとして
事業所得の金額及び課税売上高を推計して
所得税の更正処分等
並びに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の
更正処分等をした。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
今回の主たる争点は、
1)原処分に係る調査において課税処分の取消原因となる違法があったか否か。
2)偽りその他不正の行為に関する次の各点。
(1) Lに係る所得等を、原告が申告せず、Jが申告していたことは、偽りその他不正の行為に当たるか否か。
(2) K、M、L及びQについて売上金額の一部の除外(売上除外)があったか否か。
3)税務署が主張する推計方法は最適な推計方法であるか否か。
です。
いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
【裁判官の裁決】は、
争点1ですが、
税務職員が
原告を畏怖させるような強圧的な言動を行ったという
原告の主張内容には、
疑わしいところがあるといわざるを得ないし、
仮に原告の主張するような税務職員の言動があったとしても、
そのことをもって、税務調査が行われたとは
いえないような重大な違法があったとは認められない。
したがって、原処分に係る調査において
課税処分の取消原因となる違法があったとはいえない。
争点2は、
Lに係る所得等を、
原告が申告せず、
Jが申告していたことをもって、
原告が、税額を免れる意図の下に、
税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような何らかの偽計
その他の工作を伴う不正な行為を行ったと評価することはできないから、
このことは、偽りその他不正の行為に当たらない。
争点3は、
原告の主張する推計方法が
税務署の主張する推計方法よりも
真実の課税標準等の額により近似することが明らかであるとはいえず、
他方で、原処分庁の主張する推計方法は、
一応の合理性があると認められるから、
最適な推計方法であるということができる。
ただし、税務署の主張する推計方法については、
推計の基礎とすべき数値について、多少の補正を行うべきである
とした。
「平成24年5月25日裁決」
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
今回は裁決がというより、
筆圧痕から
売上除外を見抜いたという方に
興味を持ってしまいました(笑)
税務調査では
時にはゴミ箱やあるべき書類がない事実から
嘘や除外を
見破ることがあります。
やはり嘘はバレてしまいます。
「正しい申告と納税を」
ですね。
ご不明な点は
お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで
お問い合わせください。