夏期賞与を減額すると冬季賞与分も事前確定届出給与にならない!?【税務調査】
2014-11-21
この事件は、
超硬工具の製造・販売業を営む納税者が
代表取締役等に支給した役員給与のうち
冬季賞与分を事前確定届出給与に該当すると
判断して申告したところ、
税務署が変更届出のなかった夏期賞与の減額したことから
事前確定届出給与は無効になり
冬季賞与分を事前確定届出給与に該当しないと判断し、
更正処分の上、
過少申告加算税の賦課決定処分をしたことを受け
納税者がその取消しを求めて提訴した
裁判です。
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【納税者】は、
支給当時、
事前確定届出給与に関する変更届出の理由となる
業績悪化改定事由の範囲が明確ではなく、
止むを得ない事情の判断も極めて困難だったと主張。
その上で、変更届出をしなかったことについて落ち度はなく、
夏期賞与の減額支給を理由に
冬期給与の額まで損金算入を認めないのは
不当である
と主張した。
【税務署】は、
変更届出のなかった夏期賞与の減額したことから
事前確定届出給与は無効になり
冬季賞与分を事前確定届出給与に該当しないと判断し、
更正処分の上、
過少申告加算税の賦課決定処分とする
と主張した。
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いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
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【裁判官の裁決】は、
法人税法34条1項2号の趣旨に触れ、
所定の手続きを経ずに減額支給された事前確定給与について
損金算入は認められないと解釈。
また、業績悪化改定事由についても、
国税庁の例示に該当しない場合、
役員給与の額を減額せざるを得ないような
客観的な事情を
税務署に明確に説明できるようにしておく必要がある
と判示する一方で、
業績悪化改定事由の範囲は明確であり、
損金算入が可能な事前確定届出給与には
該当しない
とした。
「平成25年3月14日判決」
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事前確定届出給与は
役員給与の支払い方の一つですが、
わたしの意見としては
とても使い勝手の悪い手法です。
上記の判例にもあるように
1回事前届出した支払い方をしないと
他の月の支払い方も
無効になることもあります。
それだったら
まだ定期同額給与の支払い方の方が
柔軟な考え方を
することができます。
この判例を読んで
事前確定届出給与の支払い方には
十分注意してくださいね。
ご不明な点は
お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで
お問い合わせください。