翌期の品物を今期の費用にしたら仮装の行為にあたって重加算税!?【税務調査】

2014-11-25
納税者が 課税仕入れに係る支払対価に 翌課税期間に納品されたパンフレットの製作費等を含めたことについて、 税務署が 隠ぺい又は仮装の行為があったとして 消費税等に係る重加算税の賦課決定処分をしたのに対して、 納税者が 隠ぺい又は仮装の行為はないとして 同処分の全部の取消しを求めた 裁判です。 今回文章が長いですけど、 とても興味深い内容になっていますので、 できるだけ全部読んでみてくださいね。 サスペンスドラマのような やり取りになっていますよ。 どうしても 時間が取れない人は 【裁判官の裁決】だけでも 読んでください。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【納税者】は、 本件パンフレット等は、 当初、平成22年11月末までに納品される予定であったが、 実際の納品が平成22年12月14日にずれ込んでしまったところ、 社内の連絡が不十分であったことにより、 納品予定時期を基に受領した本件各請求書や これに基づいて作成した送金依頼書によって その支払を行い、 本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に 本件パンフレット等製作費を含めてしまったものである。 これは、当時の納税者には、 総務チームが会計処理を行う際に、 納品書により本件パンフレット等の納品の事実を確認するという 社内ルールがなかったために生じたものであり、 平成22年11月末までの本件パンフレット等の仕上がり状況 (原稿記事の確認という校正は完了し、色校正のみが未了)からいえば、 本件パンフレット等製作費のうち大半の金額については J社に対して支払義務が生じていたのであるから、 通謀による虚偽の証ひょう書類の作成の事実はない。 また、本件パンフレット等が 本件課税期間内に納品されないことが判明した以後において、 K課長が総務チームにこれを伝えなかったことは、 担当者間の単なる連絡ミスにすぎず、 帳簿書類の集計違算を意図的に行い、経理操作をした事実はない。 したがって、納税者には、 本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に 本件パンフレット等製作費を含めたことについて、 隠ぺい又は仮装の行為はない と主張した。 【税務署】は、 納税者の総務チームでは、 納税者の各部署において生じた経費については、 当該各部署の担当者が作成した送金依頼書を基に支払を行うとともに、 当該送金依頼書に添付された請求書に記載されている物品等の納品があったものと みなして経費の計上を行っており、 K課長もこのことを認識していたと認められる。 そして、K課長は、 本件パンフレット等に係る予算を平成22年11月中に実行したいとのもくろみから、 本来であれば本件パンフレット等の納品後に検収を行った上で J社から受領するはずの請求書を、 同社に対して前倒ししてその作成を依頼し、 同社から平成22年11月25日付の本件各請求書を受領しており、 このような通謀による虚偽の証ひょう書類の作成に当たる事実に基づき、 本件各請求書を添付した送金依頼書を総務チームへ回付したことによって、 納税者は、本件パンフレット等製作費を広告宣伝費勘定として経費に計上するとともに、 本件パンフレット等製作費を 本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたものと認められる。 また、K課長は、平成22年11月29日のL氏からの電子メールによって、 本件パンフレット等が本件課税期間内に納品されないことを認識していたにもかかわらず、 総務チームにこれを伝えず、 本件各請求書に基づき支払った本件パンフレット等製作費を、 あえて本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったのであり、 帳簿書類の意図的な集計違算の事実が認められる。 したがって、納税者には、 本件パンフレット等製作費を 本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、 隠ぺい又は仮装の行為がある と主張した。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── いきなり、裁決を見るのではなく これはどういう判決になるか すこし考えてみてください。 税務というと 決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、 そもそも税法に則った判断処理のこと なのです。 その判断処理を間違えると 払う必要のないキャッシュが 会社から失われてしまう可能性があります。 この判断処理を 今まで間違っていた納税者の割合や なんと7割以上(国税庁のHPより) 判断処理 大丈夫ですか? ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【裁判官の裁決】は、 総務チームでは、 各部署から送金依頼書とともに請求書が回付された場合、 その請求書に記載された物品等の納品があったものとみなした上で 会計処理をしており、 K課長がそれを認識しつつ納品前に請求書の作成を依頼した上で 本件各請求書を受領していることは、 通謀による虚偽の証ひょう書類の作成に当たる旨を主張するが、 この点に関して 税務署の主張を採用することはできない。 また、税務署は、 K課長が、本件課税期間中に本件パンフレット等が納品されないことを認識していながら、 あえて本件パンフレット等製作費を、 課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったものと主張する。 しかしながら、K課長が本件パンフレット等製作費に関する送金依頼書を 総務チームに回付する際に納品書を添付しなかったのは、 納税者において、 経費計上に際して納品日を確認しないという社内的なチェック体制の不備に基因し、 会計処理に際して納品書の添付が求められていなかったことが理由であると認められる。 そうすると、K課長が、本件課税期間中に 本件パンフレット等が納品されないことを総務チームに伝えなかったことをもって、 納税者が、本件パンフレット等製作費について 本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことにつき、 隠ぺい又は仮装と評価すべき行為をしたと認めることはできず、 税務署の主張には理由がない。 以上のとおり、 納税者が本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に 本件パンフレット等製作費を含めたことについて、 隠ぺい又は仮装の行為はなく、 重加算税を賦課することは相当でない とした。 「平成25年9月26日判決」 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 今回の事件の実際の流れは 税務署が説明している通りなのでしょう。 しかし、その事実に悪意や隠ぺい又は仮装の行為であったかは 本人しかわかりません。 実際は税務署の言うとおり 意図的だったのかもしれません。 納税者の言うとおり 単なる連絡ミスだったのかもしれません。 今回の裁判官の判断は 本人に隠ぺい又は仮装の意思があったことが 明らかでない状況において それを断言することはできない として 隠ぺい又は仮装の行為はなかったとされました。 しかし、実際の税務調査の話を聞くと 隠ぺい又は仮装の意思がなくても 重加算税や払う必要のない税金を払っている 会社のことをよく聞きます。 「この交際費の中に社長の個人的な付き合いのものも  少しくらいあるでしょ。  だから、半分は認めますから  半分は社長の給料ということでどうですか?」 といった具合に。 この言葉には絶対に個人的な付き合いはないと言い切れない 心理的なところを突き YESと言いやすくなる誘導性からなっています。 税務調査という非日常の緊迫感のある場で この言葉を言われると YESと言ってしまう人が多いようです。 やはり、こういう場でも しっかりと税務調査や税務調査官に対する知識と こういった場での適切な対応ができる人が 必要になります。 ご不明な点は お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。
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