存在しない建物に関する売買契約の仲介手数料を益金の額とすべきか!?【税務調査】

2019-06-13
納税者は

不動産仲介業を営む同族会社であり、

昭和64年1月1日から
平成元年12月31日までの
事業年度の確定申告に対し、

争った

裁判である。


税務署が更正した経緯は、
次のとおりである。

①納税者は、

平成元年1月10日に
A社株式会社との間で、

A社が所有する
土地及びその土地の上に

平成2年3月30日に
竣工を予定している
建物に関する
売買の専任媒介契約を

締結した。


②A社と
○○国に本店を有する株式会社B社は、

平成元年7月31日に
本件建物の建築請負契約と
本件土地の売買予約
又は停止条件付売買と
解すべき契約を

納税者の媒介により締結し、

同日、
「不動産売買契約書」と
題する契約書を

作成した。


③納税者は、

本件専任媒介契約に基づき
A社から、

平成元年8月7日に
仲介手数料総額
24.000.000円の半額に当たる
12.000.000円を受領し、

本件事業年度において
これを前受金として

経理した。


④ところが、
税務署は、

本件受取手数料(12.000.000円)を
本件事業年度の
益金の額に算入すると

更正をした。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

本件不動産売買契約は
本件契約書による
契約締結の事実をもって、

本件専任媒介契約の対象となる
売買契約が成立し、

納税者の媒介に係る
役務の提供が
完了しているとはいえない。


また、
法人税基本通達2-1-11
(不動産の仲介あっせん報酬の帰属の時期)
に定める
「売買等の契約の効力」が
発生しているとは
いえない。


①売買の対象となった
 土地及び建物のうち、
 建物は建築予定のものであって
 いまだ存在しないから、
 この部分は売買契約の効力が有効に
 成立しない。


②建物予定の建物については、
 売買契約となっているが、
 請負契約と
 解すべきである。


③将来、
 建物が完成した場合に
 本契約を成立させるという
 売買予約又は建物完成を
 停止条件とする
 停止条件付売買契約と
 みるべきでる。


つまり、
媒介に係る役務の提供は
いまだ完了していないから、

当該売買契約後に
受領した
仲介手数料に係る収益は、

受領日の属する
事業年度の益金にはならない

と主張した。



【税務署】、

①納税者は、
 本件専任媒介契約に基づき、
 本件契約当事者間の
 本件契約物件を目的物とする売買契約
(以下「本件売買契約」という)の成立に向けて
 媒介を行い、

 その媒介に係る仲介手数料として、
 平成元年8月7日に
 A社から本件受取手数料を
 受領している。


②納税者の役務の提供は、
 本件専任媒介契約に基づき
 本件契約当事者間の媒介を行い、

 本件土地と同地上に建築予定の本件建物
(未完成建物)を
 目的物とする

 本件売買契約を
 締結することにある。


③本件売買契約は、
 平成元年7月31日に
 本件契約当事者間に
 有効に成立し、

 その効力が
 発生している。


④本件専任媒介契約の対象となる
 売買契約、
 すなわち本件売買契約は、

 本件事業年度中に成立し、

 その効力が
 発生しているから、

 本件受取手数料は
 同事業年度の益金の額に
 算入すべきである

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

本件売買契約の効力が
本件建物完成時まで発生せず、

又は、
その発生を損害するような
特段の事情を認めるべき
資料は存在しない。
 

本件売買契約は、

本件専任媒介契約の対象となる
売買契約
(本件土地と同土地上に建築予定の本件建物の売買契約)
にあたり、

納税者の本件専任媒介契約に基づく
媒介に係る役務の提供は、

本件売買契約の締結により
完了していると認められる。


しかも、
本件売買契約の効力は、

前述のとおり、
特段の事情の存しない
本件においては、

本件売買契約が
納税者の媒介により
成立した

平成元年7月31日に
発生したと
認められる。


その結果、
納税者が

上記媒介に対する
約定報酬の一部として
平成元年8月7日に
A社から受領した
受取手数料12.000.000円は、

本件事業年度の
益金の額に算入すべきであり、

したがって、
更正した税務署は適法である

とした。

「国税不服審判所 平成3年6月5日裁決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

不動産の仲介の報酬の額は
原則として
その売買契約等の効力があった日の
属する事業年度の
益金の額に
算入されることと
されています。


しかし、
実務上
取引当事者間における
代金の決済が済み
所有権移転登記が
行われる時点で
収入に計上している
場合が多い。


そこで
基本通達により
後述の計上も
認めています。


ただ、
この基本通達は
現金主義を
容認しているのではなく

実際に目的の取引が
完了しているなら

決算期末までに
入金がなくても
未収計上する
ことになるので

ご注意ください。


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