工事代金の収益計上時期について税務署の処分が取り消された!?【税務調査】

2019-06-12
本件は、

総合建築業を営む
納税者が行った

駐車場の造成工事(本件造成工事)について、

「工事委託契約」において、
用地買収から造成工事までを
納税者ら共同企業体が
請負う契約を締結後、

工事委託契約の委託者(委託者)が、

本件造成工事のうち
工事部分について、
別途、
「工事請負契約」において、
納税者以外の者に発注し、

さらに、
工事請負契約における請負者(請負者)が
納税者に
約36億円(本件工事代金)の工事(本件工事)を
「注文書」に基づき
発注した事案であり、

本件工事の収益計上時期を

争った

裁判である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

本件工事代金は、
請負者から
委託者に対する
用地買収のための
融資である。
 

仮に本件工事が
請負者からの
下請工事として
なされたもので
あるとしても、

(ア)本件工事代金は
実際に必要な工事金と
かけ離れている、

(イ)本件工事代金を決めたのは
委託者や請負業者であり、
これは、
本件造成工事を
納税者ら共同企業体で
行うことに
なっていたからである、

(ウ) 本件工事代金のほぼ半額を
委託者が取得していることから、
納税者ら共同企業体の工事であり、
納税者のみが
下請けしたと
考えるべきではない。
 

委託者が
平成8年3月期に
造成完了と考えていないのは
委託者の代表取締役が作成した
陳述書
からも明らかである

と主張した。


【税務署】、

本件の工事代金が
融資であると
判断すべき資料は
確認されず、

請負者においても
その旨の証言がない。


本件工事の受注を
決定したのは
納税者であり、

委託者が
本件工事代金の決定に
かかわったとしても、
共同受注したことの
証明にはならない。


未買収部分の用地のうち
一部については、
農地転用許可申請に係る
用地に含まれておらず、

本件工事に係る用地には
含まれていないものと
認められ、

また、
他の未買収部分については、
造成面積を減少させた状況で

委託者が
請負者に工事完了の指示書
(平成7年11月27日付)
を発行したのであるから、

本件工事は
計画を変更して
完成させたと
判断せざるを得ない

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

本件造成工事は、
納税者ら共同企業体が
用地買収から造成工事まで行い、

完成後の駐車場を
1坪当たり15万円で
委託者に引渡すという
本件工事委託契約を
基本として
行なわれたもので、

通常の契約状態とは
異なる方法で
行なわれたことが
認められる。


すなわち、
本件造成工事のうち
工事に関する契約等には、

工事委託契約、
工事請負契約、
及び注文書があり、

納税者が
施行業者として
当事者となっている契約等は、
工事委託契約及び注文書である。


なお、
本件工事委託契約に係る
面積、工期等については、
用地買収が
困難な部分が生じたことなどから
変更されているが、

変更された内容などについては、
当事者間において
合意されていたものと
認められる。


また、本件工事代金には、
本件工事以外の
土地代及び近隣対策費等の金額が
約49%(約17億円)も
含まれている事実からすると、

当初から、
本件工事代金には
用地取得等に係る資金の
一部を含むことが
当事者間において
了解されていたもので、

融資の手段としての
目的もあったものと
推認される。


これらのことからすると、
本件工事については、
委託者が
平成7年11月27日付で
請負者に
工事完了の指示書を発行していること等から

税務署の
主張どおり未買収部分を除いて
平成8年3月期中に完成していると
認められるものの、

本件工事の収益計上時期は、
本件工事委託契約に基づき
本件造成工事の一連の事業が完了し、
委託者に
正式に引渡した日の属する事業年度と
するのが相当である。


すなわち、
納税者ら共同企業体が
本件造成工事の完成部分について、
実際に委託者に引渡したのは、

平成10年6月20日であると
認められることから、

本件工事の納税者の収益計上時期は、
平成11年3月期であると
認められる。


以上のことから、
課税庁が、
本件工事だけを切り離して、
平成8年3月期に
完成したと
認定したことは
相当でない

とした。

「国税不服審判所 平成11年10月12日裁決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

なんだか複雑な事情ですが、
このように契約内容や当事者の役割などが
複雑な場合には、

税法上どうなのかと
いきなり
考えるのではなく、

これらを紐解き
事実関係を明らかにすることと

全体を把握することが
大切です。


間違っても
今回の税務署のように
一部を取り出して
課税関係を
考えることの
ないように
してください。


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