滞納金に対して不動産の差押えと還付金の充当!?両方行うのは適法なのか?【税務調査】
2019-07-19
P税務署長から 昭和63年4月25日付で 国税通則法(以下「通則法」という。) 第43条《国税の徴収の所轄庁》第3項の規定により 徴収の引継ぎを受けた ○○国税局長は、 納税者が P税務署長に 平成2年分の所得税の確定申告書を 提出したことによって 発生した 43,300円の還付金に対して、 通則法第56条《還付》第2項の規定により 同署長より還付の引継ぎを受けて、 平成3年5月15日で 本件還付金を、 納税者の 昭和61年6月11日相続開始に係る 相続税の申告分の滞納税額に 充当をした。 納税者は、 本件充当を 不服として 平成3年6月27日に 審査請求をした 事案である。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【納税者】、 税務署は、 本件滞納国税につき 滞納処分として 既に 平成元年10月12日付で 不動産の差押えをなして 国税債権を 確保しており、 更に 本件充当をすることは 重複処分となるから 違法である と主張した。 【税務署】、 納税者は、 平成3年5月15日現在、 本件滞納国税 3,453,700円を 滞納していた。 一方、 納税者が 平成3年2月16日に P税務署長に対して 平成2年分の 所得税の確定申告書を 提出したことにより、 本件還付金が 発生した。 このため、 税務署は、 平成3年4月19日に P税務署長より 本件還付金について 還付の引継ぎを受け、 通則法第57条《充当》の規定に基づいて、 平成3年5月15日に 本件滞納国税に 充当したものであり、 本件充当は 何ら違法ではない と主張した。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── どちらの主張が 正しいのでしょうか? いきなり、裁決を見るのではなく これはどういう判決になるか すこし考えてみてください。 税務というと 決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、 そもそも税法に則った判断処理のこと なのです。 その判断処理を間違えると 払う必要のないキャッシュが 会社から失われてしまう可能性があります。 この判断処理を 今まで間違っていた納税者の割合や なんと7割以上(国税庁のHPより) 判断処理 大丈夫ですか? 本来の裁判判決は 難解で読むづらいものになっていますので、 読みやすいように多少 書き換えています。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【裁判官の裁決】、 通則法第40条《滞納処分》の規定によると、 一定の期日までに 国税が完納されない場合は 滞納処分を行うと 定めている。 また、 国税徴収法第47条《差押の要件》の規定によると、 一定の期日までに 国税が完納されない場合は、 滞納者の国税に対して その財産を 差し押さえなければならないと 定めている。 そして、 通則法第57条の規定によると、 還付金等がある場合において、 その還付を受けるべき者に対して 納付すべきこととなっている 国税があるときは、 通則法第56条第1項の規定による 還付に代えて、 還付金等を その国税に 充当しなければならないと 定めている。 通則法第57条第1項による 還付金等の充当は、 上記のとおり、 同一の納税者に 還付金等と 納付すべきこととなっている国税とが 併存していることを 要件とするものである。 当審判所が 調査したところによれば、 納税者には 平成3年5月15日現在 税務署を 国税の徴収の所轄庁として 納付すべきこととなっている 本件滞納国税が 存在している。 たとえ本件差押えによって、 税務署が 既に 本件滞納国税に係る 国税債権の確保を 図っていたもので あるとしても、 それにより 納税者の本件滞納国税が 完納された というわけではない。 また、 本件充当は、 本件滞納国税につき 差押えがなされているかどうかには かかわりなく 行われるものであり、 かつ、 本件差押えとは 別個の規定に基づく 内容を異にしたものであるから、 これを 重複処分で 違法である ということはできない。 したがって、 税務署が 本件還付金を 本件滞納国税に充当した 本件充当は 適法であり、 納税者の主張には 理由がない とした。 「国税不服審判所 平成4年2月24日裁決」 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 滞納金には もし、それに充当できる 還付金などが あった場合、 税務署が 上記の 権限で 自動的に 補てん することが できます。 なので、 補てんされた場合は、 補てんしますね という 連絡なしに 補てん後に、 補てんしました という通知が 後から 送られてきます。 ご相談、ご不安なことが ありましたら、 お気軽に 中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。 セカンドオピニオンとしても 税務調査対策としても ご提案を致しております。