調査初日に申し出て3ヶ月後に修正申告書を提出したら加算税かかる!?【税務調査】

2019-08-01
納税者は、
不動産賃貸と会社の経営管理などを
業とする同族会社である。


税務署の調査担当職員は、
平成20年9月5日、
納税者の代表者と関与税理士に電話連絡の上、

納税者に対する税務調査のため、
同年10月1日、
納税者の事務所に臨場した。


関与税理士は、
同日、
代表者の同席の下、
調査担当職員に
会社概況説明等をした後、

経理担当者であったAが
平成17年2月期~平成20年2月期において
使い込みをしていたことを説明し、
関連する資料を交付した。


関与税理士から、
本件横領の全容を解明するには
相当の日数を要するので、

本件横領の解明作業については
当方に
任せてもらいたい旨の
申出を受けた。


調査担当職員は、
申出を了承し、
解明作業については
関与税理士に任せる旨を
回答し、

自らは
本件横領の全容については
確認せず、

帳簿調査の過程で
証拠資料の確認ができないものについて、
交付を受けた本件資料の写しと照合するなどして、
その一部について確認するにとどめた。


納税者は、
平成21年1月16日、

本件横領13,123,086円について
修正した
本件各事業年度に係る
修正申告書を提出した。


税務署は、
同年5月19日付で、
本件修正申告について、

本件横領のうち、
隠ぺい又は仮装に当たるものについては
重加算税の賦課決定処分を、
それ以外のものについては
過少申告加算税の賦課決定処分をした。


納税者は、
同年10月30日、
本件賦課決定処分に対して

不服申し立てを

事案である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

税務調査初日に
経理担当者が個人的に使い込みをしていたと
税務調査官に申し出た事項を

その3ヶ月後に
修正申告を提出した場合、
加算税の対象になるのでしょうか?

それとも対象にならないのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

国税通則法65条5項は、

過少申告がなされた場合でも、

その後修正申告書の提出があり、
その提出が
その申告に係る国税についての調査があったことにより

当該国税について
更正があるべきことを
予知してされたものでないときには

過少申告加算税を
賦課しないこととしている。


その趣旨は、

過少申告がなされた場合には、
原則として過少申告加算税は賦課されるものであるが、

「申告に係る国税についての調査があったことにより
 当該国税について更正があるべきことを予知」

することなく
自発的に修正申告を決意し、

修正申告書を提出した者に対しては、

例外的に
過少申告加算税を賦課しないこととし、

納税者の自発的な修正申告を
奨励することにある。	


認定事実によれば、

①納税者本人において、
その申告が不適正であることを発見し

その端緒となるべき資料等を
把握したこと、


②本件関与税理士と代表者は、

本件調査の初日(平成20年10月1日)には、

会社概況等を説明した後、
調査担当職員が帳簿調査を開始する前に、

当該職員に対し、
本件資料の写しを交付し、
本件横領に係る事実関係を説明し、

当該職員から横領の解明作業を
本件関与税理士が行うことの
了承を得たもので、

税務当局の調査着手後、
早期の段階において、
納税者から
修正申告書を提出する旨の申出がなされたこと、


③調査担当職員は、
本件調査の開始前において
本件横領につながるような資料を保有しておらず、

帳簿調査において、
横領行為の一部について確認するにとどまり、
その全容について確認していなかったこと、


④本件調査により、
Aの横領行為に関する事実関係で
新たに明らかになったものはなかった。

そうすると、
上記申出を受けた調査担当職員は、
当該申出に係る部分を除いて
調査を行ったものであり、

調査担当職員の調査により
更正がなされることを予知されたと
評価すべき事実を認めることはできず、

本件修正申告書は、
本件調査があったこととは
別に
自主的に提出されたものであり、

調査があったことに基づいて
提出されたとは認められないため、

本件は、
更正があるべきことを予知してされた
修正申告書の提出に当たらない。	


したがって、
本件修正申告書の提出には
通則法65条5項の規定が適用され、

同条1項の規定は適用されないから、

過少申告加算税は課されない。


また、
通則法68条1項は、
同法65条1項の規定に該当しない場合には
適用されないから、

本件において
重加算税を課すことはできない

とした。


「国税不服審判所 平成22年6月22日裁決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

通常、
税務調査が開始してから
もしくは
税務調査後に
修正申告を提出したら

手遅れで
加算税が掛かると
思いますよね。


実際、原則は
加算税が掛かります。


しかし、
通則法65条5項の適用に関して、
同項の趣旨は、

「過少申告がなされた場合には、
 修正申告書の提出があったときでも

 原則として
 過少申告加算税は賦課されるものであるが、

 『申告に係る国税についての調査があったことにより
  当該国税について更正があるべきことを予知』

 することなく
 自発的に修正申告を決意し、

 修正申告書を提出した者に対しては、

 例外的に
 過少申告加算税を賦課しないこととし、

 納税者の自発的な修正申告を歓迎し、
 これを奨励することを目的とする」


本件資料を交付した上、
本件横領の事実についての説明がなされことから、

遅くとも、
この説明がなされた時点までには、

納税者は、
本件修正申告を
確定的に決意したということができ、

一方、
調査担当職員は、
同時点においては、
本件横領につながる資料を何ら保有しておらず、

本件調査によって
明らかになった事実はなかったというのであるから、

本件修正申告は、

「税務職員が
 その申告に係る国税についての調査に着手して
 その申告が不適正であることを
 発見するに足るか
 あるいはその端緒となる資料を発見し、

 これにより
 その後調査が進行し
 先の申告が不適正で申告漏れであることが発覚し
 更正に至るであろうということが
 客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達した後に、
 納税者がやがて更正に至るべきことを認識したうえで
 修正申告を決意し
 修正申告書を提出したものでないこと」

に当たると認めるのが相当である。


本件裁決は、
更正を予知しないでされた
修正申告(自主修正)であるか否かは、

「修正申告書の提出」という事実ではなく、
「修正申告の決意」という事実が
客観的確実時期の前にあったか否かによって
判断すべきとの考え方に基づき、

調査着手後に修正申告書が提出された場合について
判断を示したものとして、

実務上、参考となります。


ただし、
来年から
この判断が変わりますので、

また
その点については
お伝えしますね。


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