会社に隠れて生産管理課長が行った、取引先から支給された残紙の販売は会社の売上になるのか!?【税務調査】

2019-08-02
納税者は、

印刷の請負と
製本紙器の製作などを
目的とする
株式会社であり、

本社工場とQ工場を
有している。 


納税者の
平成16年7月期~平成19年7月期における
代表取締役は
Dであったが、

同人は、
平成20年○月○日、
代表取締役を退任し、

同日、
Eが
代表取締役に就任した。


Fは
昭和61年に
納税者に入社し、

本件各事業年度において、
本社工場生産管理課
または生産管理部の生産管理課長として、

印刷工程の管理と
外注手配に関する
業務に従事していた。


納税者が
売上先との間で締結する
印刷の請負契約の中には、

売上先が
納税者に
印刷用紙を無償で支給する旨が
定められているものがあり、

この場合、
売上先が
納税者に支給する印刷用紙の数量は、

売上先に引き渡す
印刷物の数量に見合う
印刷用紙の数量に、

印刷作業で
通常生じる損紙の数量に見合う
予備の印刷用紙の数量を
加算したものとされており、

この予備の印刷用紙の数量が
損紙の数量を上回り、
支給紙の一部が
使用されず残ることもあった。


Fは、
本件各事業年度において、

納税者が
Q工場に保管していた
本件余剰紙を
G社に売却し、

同社の工場長Hから
売却代金を
現金で受領していた。 


Fは、
本件紙取引を行う際、

実在しない
J社の名義を使用して
納品書、請求書と
領収証を作成し、

G社に交付していた。


税務署は、

本件余剰紙が
納税者の所有・管理する物であったなどのことから、

本件紙取引は
納税者の事業の一環として
行われたものであり、

本件各事業年度における
本件紙取引に係る収益は
納税者の売上げであるとして、

法人税と消費税等に係る
更正処分
ならびに各過少申告加算税賦課決定処分
を行った。


納税者は、
本件紙取引は
納税者の意思に反して、
Fが自己のために行った行為であるから、

本件収益は
納税者の売上げでないとして、
本件課税処分の取消しを求めた

事案である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

会社や代表取締役が知らないところで

社員が
会社の資産を
勝手に売却した場合、

会社の売上としなければ
いけないのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

本件紙取引に係る収益が、
納税者の売上げか否かについては、

〔1〕取引を行った従業員の地位・権限、
〔2〕その取引の態様、
〔3〕納税者の事業内容、
〔4〕取引の相手方の認識
などを

総合考慮して
判断するのが相当である。


本件についてみると、

①Fは、
本件各事業年度において、
経営に従事する立場にはなく、

また、
本件紙取引の対象となった
支給紙の払出しの指示を
出す業務を行ってはいたものの、

印刷用紙の保管と管理に関する業務を
遂行する職務と権限を
納税者から与えられておらず、

本件余剰紙を
自己の判断で
売却する権限を
有していなかったこと、


②本件紙取引は、
Fが、
納税者から
窃取した本件余剰紙を、

J社の名義を使用して
G社に売却したものであること、


③納税者は、
印刷の請負と製本紙器の製作等を目的とし、
印刷用紙の販売を目的としていない上、

本件各事業年度において、
納税者が所有・管理していた、
本件余剰紙以外の印刷用紙が
他に販売された事実はなく、

外注先に対し
有償で支給された事実もなかったこと、


④G社は、
本件紙取引が
納税者との取引であるとは
認識していなかったことが
それぞれ認められ,


これらのことを
総合考慮すれば、
本件紙取引に係る収益は、
納税者の売上げとはいえない。


本件余剰紙が
納税者の所有・管理する物であったとしても、
そのことから
納税者が
本件余剰紙を
売却したとはいえないこと、


本件紙取引は、

Fが、
本件紙取引の対象となった
支給紙の払出しの指示を出す業務を行っていたことを
奇貨として、

納税者から与えられた
職務と権限の範囲を逸脱して
行ったものであり、

納税者が
明示又は黙示的に
これを容認していた事実は
認められないから、

本件紙取引が
納税者の事業の一環として
行われたものとはいえないこと、

G社は、
本件紙取引が
納税者との取引であると認識しておらず、

また、K社は、
本件紙取引の当事者でないから、

その認識は、
本件紙取引に係る収益が
納税者の売上げか否かについての判断を
左右する要素でないことなどから、

主張には理由がない

とした。


「国税不服審判所 平成21年9月9日裁決」


────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

会社の意思と関係なく
社員が勝手に
社内のものを
取得、販売する

ということは
本来あってはならないことですが、

世の中では
よく見受けられる光景です。


この事態が
税務調査で
発覚すると、

上記のように
会社の売上
もしくは
社長の役員賞与と
言われることが

よくあります。


その時に
どう判断すべきか

本件裁決の判断過程は、
実務上の参考となります。


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