何度となく防水工事を行っても雨漏りが続いた建物の維持管理修理が資産!?【税務調査】
2014-11-06
本社倉庫の屋根のスレート部分は
建築後20年以上経過しており
雨漏りが
20ヶ所以上で発生し腐食していたため
カラートタン部分を毎月
コーキング剤で
修理していた。
流通センタービルの屋根は
陸屋根のため雨漏りの箇所が特定できず
何回となく防水塗装を行ったが
依然として雨漏りは続いていた。
本社ビルの屋根は
平成2年にビニール防水加工による工事を行ったが
再び雨漏りが始まった。
これらのことから
建物の維持管理のために
行った修理費が
修理費になるか固定的支出(資産)になるかを
争った
裁判です。
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【納税者】は、
本件工事は建物本来の
耐用年数を維持するのみで
建物の使用可能期間が
延長することに該当せず
建物の資産価値の増加にも該当しないから
修繕費である
と主張した。
【税務署】は、
次の理由から修繕費とは認められない。
本社倉庫は
屋根のスレート屋根の上に
材質の異なるカラートタン屋根をかぶせた工事であり
屋根の材質を全面的に変更したものである
流通センターの工事は
屋根の上に鉄骨の上に
鉄骨を組み
アルミトタンで
ふいた工事である
本社ビルの工事は
陸屋根の上に
鉄骨を組みカラー鉄板で
屋根をふさいだものである
と主張した。
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いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
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【裁判官の裁決】は、
本社倉庫の工事は
それぞれの亀裂に対して
個別に修理ができたものであるにも関わらず
屋根のスレート屋根の上に
材質の異なるカラートタン屋根をかぶせた
屋根カバー工事を行ったことは
屋根の耐用年数を延長する工事と認められ
資本的支出(資産)に該当する。
流通センタービルと本社ビルの工事は
それぞれ陸屋根であり
陸屋根の特定できない部分からの
雨漏りであり
陸屋根の上に
鉄骨を組み
アルミトタンまたはカラー鉄板の屋根で覆った
防水工事であるから
修繕費である
とした。
「平成13年9月20日判決」
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既存の資産の修理は
修繕費として
費用計上する。
これは経営者の考え方であり
税務上では
単純にそうはなっていません。
資産価値が増加する修理
耐用年数を延長させる修理は
あらたに資産を増設したことと
同じであり
資産として
減価償却しながら
費用計上すべきである。
これが税務上の考え方です。
修繕費についての
税務調査での指摘や裁判での争いは
数多くあります。
建物や機械などの修理費は
多額になることが多いです。
あとから
資産になると指摘を受け、
不必要な追徴税を払うことにならないように
修繕の際は
きっちりと検討して
会計処理を行うことが必要です。
ご不明な点は
お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで
お問い合わせください。