本店が負担した宣伝広告活動は支店の交際費になるのか!?【税務調査】
2014-11-11
今回の納税者は
本店がイギリスにあり
世界各地に営業所や子会社をもっていて
輸出入業務、運輸、トラベルサービスその他多岐にわたる
営業をしている商社です。
日本での営業所の消費財事業部は
外国醸造者や製造業者の日本における
総代理店として
外国メーカーのウイスキー等の
洋酒や菓子類の輸入、販売を行っている。
納税者が洋酒等を販売するためには
日本国内における
広告宣伝活動が不可欠であり
外国マーカーの一定の負担のもと
外国メーカーと共同して
広告宣伝や販売活動を行っている。
この宣伝広告活動は交際費であり
外国メーカーの負担分は
外国メーカーによる交際費として
納税者の交際費としては計上すべきではない
という点について
争われた
裁判です。
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【納税者】は、
すべて事業の費用であり
交際費である
と主張した。
【税務署】は、
交際行為を行う2以上の法人が
共同して交際行為を行い
その費用を分担支出したときは
それぞれの法人の負担額がそれぞれの交際費となる。
今回は
交際行為を行う相手に対して
納税者以外に
外国メーカーも含めた交際行為であると
認識しうるような
客観的状況は存在せず
外国メーカーからの
資金提供の意図も
交際行為に対する負担ではない。
以上の点から
共同交際費支出の要件を欠いており
納税者と共同して
外国メーカーが
負担する交際費の支出があった事実はない
と主張した。
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いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
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【裁判官の裁決】は、
2以上の法人が共同して
交際行為を行ったということができるためには、
原則として
2以上の法人が共同して
交際行為を行うという
「共同の意思」という
主観的要件が必要であり
また、
交際行為の一部負担という
客観的要件が必要となる。
したがって、
ある法人が他の法人に
交際行為の企画・立案・実施のすべてを委ね、
しかも事前に
いかなる交際行為が実施されるのか
認識すらしていないような場合は
当該法人は他の法人と共同して
交際行為を行ったと
評価することはできない
とした。
「平成2年3月23日判決」
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共同して
接待、供応、慰安、贈答等を行うことは
珍しくないです。
通常、共同開催の場合であっても
事前にどのような内容で
各社の負担がどうなるかを
文章等で取り決めされている場合が多いです。
ただし、共同開催といっても
実質主催する1社が企画運営を行い
後日負担額を請求するケースもあります。
このような場合でも、
各社の交際費とするためには、
事前に交際費負担に関する契約書、合意書などの
取り決めを交わすなどの
証明できる書類を残しておくことが
必要です。
ご不明な点は
お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで
お問い合わせください。