役員給与減額のための業績悪化改定事由とは!?【税務調査】
2014-12-12
今回は
納税者が
決算月の2ヶ月前(平成20年5月)における
経常利益が
対前年比で6%減少している状況は
業績悪化改定事由に該当するため、
定期同額給与を
決算月(平成20年7月)の前月である
平成20年6月に開催された
取締役会で
代表取締役の給与を
減額する改定決議を行い
6月と7月の給与を
減額後の金額を支給した。
それに対して
税務署は
納税者の主張する
経常利益が
対前年比で6%減少している状態は
単に業績目標に
達成しなかったものであり
経営状況が著しく悪化した状況とは
いえないからと
更正処分を行った
ことに対して争った裁判です。
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【納税者】は、
決算月の2ヶ月前(平成20年5月)における
経常利益が
対前年比で6%減少している状態は
業績悪化に相当する
と主張した。
【税務署】は、
納税者の主張する
経常利益が
対前年比で6%減少している状態は
単に業績目標に
達成しなかったものであり
経営状況が著しく悪化した状況とは
いえないから
業績悪化改定事由に該当しない
と主張した。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
どちらの主張が
正しいのでしょうか?
いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
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【裁判官の裁決】は、
業績悪化改定事由とは
法人の経営状態の著しい悪化
その他これに類する理由により
やむを得ない事情があることを
いうのであり
本件は
1、事業年度の売上高、経営利益は
過去の業績と比べて何ら遜色がないこと
2、納税者が設定した業務目標を
達成できなかったことが
減額の理由であること
などからすると
業績悪化改定事由があるとは
認められず
また、上記理由以外に
役員給与を減額せざる得ない
特段の事情が生じていたと
認めるに足る事実はない
とした。
「平成23年1月25日裁決」
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役員給与の額を減額する場合には
法人の業績や財務状況の悪化を確認するための資料、
銀行との交渉記録、
経営改善計画書等
これら事実を証明するための
証拠資料を
用意しておく
必要があります。
国税庁のHPでは
1、株主との関係上、
業績や財務状況の悪化についての
役員としての
経営上の責任から
役員給与の額を
減額せざる得ない場合
2、取引銀行との間で行われる
借入金返済のリスケジュールの協議において
役員給与の額を
減額せざる得ない場合
3、業績や財務状況または資金繰りが悪化したため
取引先等の利害関係者からの
信頼を維持・確保する必要性から
経営状況の改善を
図る計画が策定され
これに役員給与の額の減額が
盛り込まれた場合
4、主力製品に欠陥があることが判明して
リコール費用の出費の支出が避けられない場合などの理由により
役員給与の額を減額する場合
などは
認められるとされています。
業種によっては
来期の売上予測は
たてられない業種が
あります。
たとえば、
不動産仲介業などの場合、
自分で物件を持っているわけではないので
物件次第、
お客さん次第といった
ことで
予定だったら
売上が立つ予定だったのに
いきなり
お客さんが
ドタキャンして
売上が立たなくなった
ということもあります。
このような場合でも
上記の
法人の業績や財務状況の悪化を確認するための資料、
銀行との交渉記録、
経営改善計画書等
で
業績悪化改定事由を立証して
役員給与の減額を
するのか、
それとも
それに備えた
会社もしくは役員が
準備をして
おくのか
しっかりと
考えておく必要があります。
ただ、この判例の
「上記理由以外に
役員給与を減額せざる得ない
特段の事情が生じていたと
認めるに足る事実はない」
という裁判官の言葉から
国税庁のQ&A以外でも
不動産仲介業などの
業績悪化改定事由は
立証できるのではないかと
個人的には考えます。
ご相談、ご不安なことが
ありましたら、
お気軽に
中島税理士・行政書士事務所まで
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