収益法人が営むペット葬祭業は収益事業に該当するのか!?【税務調査】
2014-12-15
今回は
宗教法人である納税者が
死亡したペットの飼い主から
依頼を受けて
葬儀や供養等を
行うなどして
金員を受け取ったことが
収益事業に当たるのかどうかを
争った裁判です。
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【納税者】は、
宗教法人では
対価性のない所得については
収益事業収入に該当せず、
課税対象とされていない。
もともと
僧侶の供養は
布施という
宗教行為のうちの法施といわれ、
僧侶あるいは寺院に対する
財物の施しは
布施のうちの
財施にあたり
対価性を
肯定できない。
納税者のペット葬祭業においては
一連の行為が
宗教的意義を有しており
ペットの霊の鎮魂と
飼い主の喪失感の癒しになっているものであり、
これは宗教的な意義を有していない
一般事業者のペット葬祭業とは
決定的に異なる。
針供養や人形供養の際にも
依頼者から謝礼を受け取る喜捨には
課税されず、
供養の対象が
物である点で
ペット葬祭にだけ
課税されるのは
不当である
と主張した。
【税務署】は、
納税者の行うペット葬祭業は
請負業の特質を
備えている。
納税者は
火葬したペットの遺骨を
利用者の依頼に応じて
設置している納骨堂において
保管・管理したり、
墓地の利用者の依頼に応じて
墓地を管理し
利用者から一定額の経済的利益を
享受している。
これは倉庫業の典型的な特徴を備えている。
さらに、ペット葬祭に関連して
塔婆、プレート、骨壷、風露、位牌、石版、墓石を
販売していることは
物品の売買という
販売業の特徴も備えている。
上記について対価を受取事業を行っている点で
一般事業者と同じく
収益事業に該当する
と主張した。
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どちらの主張が
正しいのでしょうか?
いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
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【裁判官の裁決】は、
本件ペット葬祭業において
納税者の提供する役務等に対して
料金表等により
一定額が定められ、
依頼者が
その金額を支払っているものとみられ、
したがって、
これらに伴う金員の移転は
納税者の提供する役務等の対価の支払として
行われる性質のものとみるのが
相当である。
そして、依頼者において
宗教法人が行う葬儀等について
宗教行為としての意味を感じて
金員の支払いをしたとしても
いわゆる
喜捨等の性質を有するものと
いうことはできない。
また、ペット葬祭業は
その目的、内容、料金の定め方、周知方法等の
諸点において
宗教法人以外の法人が
一般的に行う
同業の事業と
基本的に異なるものではなく
これらの事業と競合するものと
いわざるを得ない。
本件ペット葬祭業が
請負業等の形態を有するものと
認められることに
加えて
上記のような事情を
踏まえれば
宗教法人である納税者が
依頼者の要望に応じて
ペットの供養をするために
宗教上の葬儀の形式により
葬祭を執り行っていることを
考慮しても
本件ペット葬祭業
収益事業に該当すると
解するのが相当である
とした。
「平成20年9月12日裁決」
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坊主まる儲けとは
昔から言われたもので
宗教法人の場合
多くの事業に
課税されません。
今回のペット葬祭業も
宗教法人が行っている
葬祭事業だから
課税されないのが
当たり前という考えが
先に来てしまったのでしょう。
おそらく、供養だけに対する謝礼であれば
喜捨と認められたかもしれません。
それ以外に
納骨堂での保管・管理や、
塔婆等の販売など
これも人間に対してであれば
不課税なのですが、
ペットは法律上では
物としての
扱いになるので、
今回の判決は致し方ない
と言わざる負えないでしょう。
これが
ペットも家族だという
通説が広がると
また、判決が覆ることが
近い将来あるのでしょうか?
ご相談、ご不安なことが
ありましたら、
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