債務が確定していなくても売上原価として損金経理できるのか!?

2019-05-21
今回の裁判は

納税者が
不動産の売買、建築工事請負等の
9月決算の株式会社。


昭和58年6月に
納税者は宅地開発の許可申請時に

牛久市から

開発区域外にある
雨水排水路の改修工事を
行うよう行政指導を
受けたため

これを了承し
茨城県知事より
開発許可を
受けた。


その後
納税者は
本件土地を造成し
昭和62年6月に
販売した。


そして、
その収益を
本件事業年度の
益金として算入した。


同年7月
牛久市の方針変更により

雨水排水路工事の内容が
大幅に変更となった。


同年9月に
納税者は
本件改修工事を
請け負わせようと考えていた
工事予定業者に
工費を見積もらせ

見積額
1億4,668万円
を牛久市に
連絡した。


同年10月
牛久市は
さらに方針を変更し

本件改修工事すべて
公共工事として
行うこととし

納税者に対し
1億4,668万円を
都市下水路整備負担金として

牛久市に支払うよう
求め
納税者は
これを了承した。


納税者は
申告にあたって

造成宅地を
販売した収益に対応する
売上原価として

1億4,668万円を
損金の額に算入した。


その後、
牛久市は
住民の反対運動を
懸念して

工事を行わず
納税者も
本件負担金を
支出していない。


この工事負担金を
売上原価として
損金の額に
算入できるかどうかを

争った

裁判です。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】は、

本件負担金は
本件宅地販売の収益にかかる
売上原価であり、

収益を
本事業年度の益金として
算入する以上、

本件負担金も
本件事業年度の
損金として
算入できる

と主張した。


【税務署】は、

本件負担金は
本事業年度において
牛久市に対して
法的義務を負ったものとは
言えないので

本件事業年度の
損金の額に
算入することは
できない

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】は、

当期終了の日である
同年9月末日において

納税者が
近い将来に
上記金額を
支出することが

相当程度の
確実性をもって
見込まれており

かつ、

同日の現況により
その金額を
適正に見積もることが
可能であったと
みることができる。


このような事情がある場合には
当該事業年度終了の日までに

当該費用にかかる
債務が確定していない時であっても

当該事業年度の収益にかかる
売上原価の額として

当該事業年度の損金の額に
算入することが
できると
解するのが
相当である

とした。

「平成16年10月29日裁決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

本判決は
最高裁での判断であって

それまでの
地裁、高裁では

売上原価として
認めないとして
納税者が負けていました。


最高裁で
売上原価について

債務が確定しなくても
認めるという
判断を示した点で

大きな意義のある
判決です。


その場合、
その確定していない費用が
売上原価になるべき
費用かどうかは

その売上原価にかかる
資産の販売もしくは譲渡
または役務の提供にかかる
契約の内容

その他の性質等を
勘案して
合理的に
判断することになります。


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