法人格をもっていない団体は人格のない社団等なのか、民法上の組合なのか!?【税務調査】

2019-05-28
納税義務者である株式会社T社が

その従業員持株会に対する
貸付金を
回収するため

同会が保有するT社の
発行済株式を
代物弁済により

取得した。


それに対して
税務署が

その代物弁済によって
消滅した
債権のうち

取得した株式に対応する
資本等の金額を
超える部分は

みなし配当に
該当し、

T社に対して
源泉徴収にかかる

所得税の納税告知処分と
不納付加算税の

処分をした

ことに対して
争った

裁判である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】は、

T社特殊会は、

その運営実態等に照らせば
人格のない社団であるから、

仮に、
本件代物弁財が
みなし配当に該当するとしても、

その受給者は
社団である
T社特殊会とされるべきである。


ところが、
本件課税処分は、
T社特殊会が
民法上の組合であり、

会員が
受給者であることを
前提としてされており、

受給者を
誤っていることから、

違法というべきである。


株式の発行会社と
株主との間に
本件特殊会のような事業体が
介在し、

その株主の株式売買が
専らその事業体との間で
行われており、

その事業体との
発行会社との間で
株式の清算取引(自己株式の取得)が
行われている場合には、

みなし配当課税に係る
現行の所得税法の規定(所法25①四)が
定めている
みなし配当課税の
除外事由と同様に、

除外して考えるべきである

と主張した。


【税務署】は、

T社特殊会については、
規約1条の規定や
決算配当を受けたときの
事務処理方法等に照らし、

運営実態から
当事者の意思を
合理的に解釈すれば、

T社特殊会が
民法上の組合として
組織され
運営されてきたことは
明らかである。


また、
T社特殊会は、
「資力を喪失して
 債務を弁済することが
 著しく困難である場合」
に該当せず、

また、
本件代物弁財も
「強制換価手続による資産の譲渡」等に
該当しないから、

T社の本件代物弁財については、
所得税法9条1項10号の
非課税所得規定は
適用されない


と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】は、

特定の作業員特殊会が、

権利能力なき社団(人格にない社団等)であるか、
民法上の組合であるかは、

その作業員特殊会に
運営実態等から、

それを構成する
当事者の意思を
合理的に解釈して
決するのが相当である。


T社総会は、
これを権利能力なき社団として
組織することが
可能であったと
考えるのにもかかわらず、

その規約において、
あえて民法上の組合として
組織することを
明確に宣言しており、

昭和63年に
実施された
T社規約のこの条項は、

今日に至るまで
改正されていない。


また、
あえて実体と異なるものとして
同条項を定めなければならない
合理的な理由も、

これをうかがわせる
証拠もない。


T社特殊会規約会員、役員、機関、運営等として
定める内容や
実際の運営の特徴をみる限り、

T社特殊会は、
最高裁判所昭和39年10月15日
第一小法廷判決の示した

権利能力なき社団の
成立要件を
充足しているようにもみえる。


しかし、
上記判決は、
法人格のない団体が

権利能力なき社団として
認められているための
必要条件を示したものであって、

判示された要件を充足する場合には
必ず権利能力なき社団であると
解すべきである旨
判示したものではないから、

T社特殊会が
上記判決の示した
要件を充足するとしても

そのことから
直ちに
人格なき社団等に
当たるということにはならない。
 

T社特殊総会は、
T社から
支払を受けた
決算配当のうち
配分済株式に係る部分について、

T社特殊株式が
業務に関連して
他人のために
配当所得の支払を受ける者であることを
前提とした
計算処理を行い、

T社特殊会が
民法上の組合であることを
前提とした
パス・スルー課税の扱いを
受けていた。


こうした
T社特殊総会の
運営実態等に係る
事実から

当事者の意思を
合理的に解釈すれば、

T社特殊総会は、
税法上の扱いに即して、

民法上の組合という
組織形態を
積極的に選択した上、

これに沿った
運営が行われたことは
明らかである。


以上によれば、
T社特殊会の法的性格は

民法上の組合であると
認めることができる。



本件代物弁済の時点において、

民法上の組合である
T社特殊会の会員らは、

T社に対し
本件借入金負債を負っており、

代物弁済によって
借入金債務が
消滅したという
事実関係がある以上、

株式の対価のうち、
資本等の金額を
上回る部分を

みなし配当と
みるほかないというものである
 
とした。

「大阪高等裁判所平成24年2月16日判決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

みなし配当発生の前提として、

T社作業員特殊会が

人格のない社団等に該当するか、
または、
民法上の組合に該当するかが

問題になったものであり、


ある事業体が

法人税の納税義務者ともなる
人格のない社団等に

該当するかどうかを
判断する上で、

興味深い論点を
示す判例です。


最近、一般社団法人を
つかった
節税スキームが
出回っていますが、

しっかりと
考えた上で行わないと

後から
思わぬトラブルとなりますので

気をつけてください。


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