有料老人ホームの「入居一時金」はいつ益金として計上するの!?【税務調査】

2019-06-21
納税者は、
「介護専用型有料老人ホーム」
を営む法人である。


契約締結時に受け取る
「入居一時金」について、

契約条項から
その期間の契約満了
又は契約終了の時に
返還義務が免除され、

その時に
益金計上すべきものとして、

預り金として
経理処理していた。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

有料老人ホームに
入居する際に
取り交わされる
入居契約書には、

入居者の責めに
帰さない事由により
契約が解除されたときは、

本件入居一時金は
常に返還すべきものとされており、


入居者の責めに帰さない事由は、

本件入居者が
入居時から

契約終了時までの間、
常に存在しているものである。


このことからすれば、
請求人には
本件入居契約終了
又は解除までの間、

常に
本件入居一時金の返還業務が
存在しているのであり、

一定の条件が生じた時に
初めて返還業務が
免除されるというのが、

当事者間の
真正な合意内容である。


「入居者の責に帰さない事由」とは、

入居時には、
正常な意思能力を持っていた
入居者が、

その後痴呆等による暴力行為、
器物損壊行為等をするなど、

本件施設の運営に
支障を来すような場合などを
意味する。


このような場合は、
入居者に責任能力がなく、
入居者の責めに帰さない事由に
該当することから、

入居一時金を返還して
退去を求めることになる。


上記のような
入居者の責めに帰さない事由は、

本件入居者の
各人について、

入居時から
契約終了時までの間、

常に存在しているのであって、

これを新たな事由の発生によって
生ずるものとする
税務署の主張は
恣意的な解釈によるものである。


また、本件入居一時金は、
返還される場合を除き、

いずれは益金の額に
算入されることになり、

最終的に課税対象となり、

本件入居契約終了時に
益金の額に算入する方法は、
相当な会計処理である

と主張した。



【税務署】、

本件入居契約書には、

①本件入居者の契約違反により
 契約が解除されたことによる契約満了の場合、

②本件入居者の任意により
 契約が解除されたことによる契約満了の場合、

③本件入居者の死亡による
 契約満了の場合のいずれの場合

においても、
請求人は
本件入居一時金の返還義務を
免除される旨
定められている。


本件入居者が
本件施設に入居した時点において、

請求人には
本件入居一時金の
返還不要が
確定していると認められる。


当事者の合意に基づき
締結された
本件入居契約書の条項によれば、

請求人が
本件入居者から
預かった
本件入居一時金は、

本件入居者が
本件施設に入居した日において
返還を要しないことが
確定しているものと認められ、

確定収入となることから、
当該入居日の属する
事業年度の益金の額に
算入すべきものである。


なお、本件入居契約書には、
本件入居者の責めに帰さない事由による
契約解除の場合
又は請求人の都合による
契約解除の場合には、

請求人は、
本件入居一時金を
全額返還する旨
定められているが、

これは、
当該各事由が発生した時に
初めて請求人に
本件入居一時金の
返還義務が生じるものであり、

本件入居者が
本件施設に入居した時点で
発生しているものではないから、

この条項は、
本件入居一時金の
収益の計上時期に
影響を与えるものではない

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

納税者の提出資料と
納税者代表者の答術
並びに当審判所の調査の結果によれば、

本件入居一時金は、

入居者が負担する
月額利用料では賄いきれない

本件施設の維持管理費と
運営費用の一部に
充当することを目的として、

納税者が
契約締結時に

本件入居者から
一括して収受する金銭であり、

本件入居者が
終身にわたって

介護を受けるための
権利を得るために

授受されるものであることが

認められる。


そして、
本件入居一時金は、

入居時に別途収受する
保証金と異なり、

将来発生する
入居者の債務を
担保する性質のものではなく、

納税者において
特定保管しておく
義務を負うものでもない。


実際、
本件入居一時金は、
施設運営のための
運転資金に
充てられていることも
認められる。


本件入居一時金の
返還義務については、

「本件入居者の責めに帰さない事由
あるいは
納税者の都合により
本件入居契約が
解除された場合」

に生ずるものと
されており、

「本件入居契約が
満了又は終了するまでは、

納税者が
本件入居一時金を
最終的に取得し得ることが
確定したということは
できない。」


しかしながら、
本件入居者に
当該各事由が起こり得るとしても、

納税者の意向によらないところの
本件入居者の
責めに帰さない事由が
実際に起こり得るか否かは

入居時においては
全く不確定なものであり、

本件入居者の責めに帰さない事由により
納税者が収受している
本件入居一時金の
利益を失うに至るというのは

単なる抽象的・未必的可能性である
にすぎないと
認められる。


そうすると、
本件入居一時金の
返還義務が生ずる場合があることは
認められるものの、

少なくとも
納税者が
本件入居契約上の債務を
履行する限りは、

本件入居契約が
満了又は終了するかを問わず、

本件入居一時金返還義務を
免除されるものであるから、

納税者は、
本件入居契約を締結し、

本件入居一時金を
収受したときにおいて、

当該入居一時金相当額の金員を
有効に取得し、

経済的利益を得るものと
認められる。


また、
納税者が
本件入居契約に基づいて
本件入居一時金を
本件入居者から
収受した時点において、

納税者は、
当該入居一時金を
自己の所有として
自由に利用処分することができ、

有効に取得していることから、

その取得の最終確定を
待つまでもなく、
当該入居一時金については、

その収受した日の属する
事業年度の
益金の額に
算入すべきもの

とした。

「国税不服審判所 平成13年12月18日裁決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

この事案は
有料老人ホームの
入居一時金の

益金計上時期について
争った
事案です。


不動産賃貸契約において
「敷金」「預り保証金」等の
名称であっても

賃貸人による
償却が可能であったり

返還が不要であったりすると
今回のように
一時金を
受け取った時点で

益金に計上しなければ
いけません。


契約条項の確認は
重要です。


「敷金」「預り保証金」であっても
期間の経過
その他賃貸借契約等の
終了前において

一定の事由の発生により
返還しないこととなる
部分の金額は

その返還しないこととなった
日の属する
事業年度の益金に
なりますので、

ご注意ください。


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