外れ馬券は「経費」として認められない!?【税務調査】
2019-06-20
本日は 昨日、判決の出た 事案について 解説したいと 思います。 外れ馬券の購入費をめぐっては、 最高裁が今年3月、 大阪市の元会社員の 馬券購入について 「長期間、網羅的な購入で経済活動の実態がある」 として経費と認めた。 しかし、昨日の判決では 外れ馬券は「経費」と認められない となった。 いったい どちらが正しいのでしょうか? それでは 本題です。 〜ここから〜 本件は、 競馬で 5億円以上の利益を得た納税者が、 外れ馬券が経費と認められず、 約1億9430万円の 追徴課税を受けたことを 不服とし、 国に対し 課税処分の取り消しを求めた。 納税者は 2005〜10年、 約72億円分の馬券を インターネットなどを通じ購入、 約78億円の払戻金を受けて 約5億7000万円の 利益を上げていた。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【納税者】は、 購入期間や規模も 最高裁判決の事例と 同等かそれ以上で、 大量に機械的に 馬券を購入しており、 投資の性質がある。 独自のノウハウに基づき、 日本中央競馬会(JRA)主催の ほぼ全てのレースで 数百万円から 数千万円の馬券を 継続的に購入していたのだから、 払戻金は「雑所得」にあたり 外れ馬券代も 経費になる と主張した。 【税務署】は、 国税庁通達に基づき 納税者の払戻金の収入は 「一時所得」にあたり 当たり馬券の購入費しか 経費算入できない と主張した。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── どちらの主張が 正しいのでしょうか? いきなり、裁決を見るのではなく これはどういう判決になるか すこし考えてみてください。 税務というと 決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、 そもそも税法に則った判断処理のこと なのです。 その判断処理を間違えると 払う必要のないキャッシュが 会社から失われてしまう可能性があります。 この判断処理を 今まで間違っていた納税者の割合や なんと7割以上(国税庁のHPより) 判断処理 大丈夫ですか? 本来の裁判判決は 難解で読むづらいものになっていますので、 読みやすいように多少 書き換えています。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【裁判官の裁決】は、 納税者は 金額は多額だが、 レースの結果を 個別に判断しており、 一体の経済活動とは 言えない。 機械的に 購入していたとまでは 言えず、 一般的な愛好家と 質的に 大きな差はない。 したがって、 払戻金は 偶発的に生じた 「一時所得」に該当し、 外れ馬券の購入費は 経費として 認めない とした。 「東京地裁 平成27年5月14日裁決」 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 3月の最高裁では 外れ馬券は 経費として 認められ、 昨日の東京地裁では 外れ馬券は 経費として 認められない。 果たして 何が違うのでしょうか? それでは 解説していきますね。 最高裁では 予想ソフトを使って 長期間、機械的に 馬券を大量購入した 場合は、 「一体の経済活動にあたる」として、 外れ馬券も経費と 認める としました。 昨日の東京地裁は、 「今回のケースではレースの結果を予想し 個別に判断しており、 一体の経済活動とは言えない」 と判断し、 一般的な競馬愛好家による 馬券の購入と 大きな差はない としました。 東京地裁は 「どのように馬券を買うか 個別に判断しており、 また、購入履歴などが 保存されていないため 機械的に購入したことを 示す資料もない」 と指摘し、 最高裁が示した 「機械的、網羅的な購入」 とは認められないと 判断しました。 つまり、違いは コンピュータを使っているか どうかが 大きな違い ということです。 それにより 機械的な購入になるのかどうかを 判断した。 これに関しては いかがなものでしょう? デイトレだって コンピュータを使う人もいれば 自分の経験や勘で やる人もいます。 ただ、 レースごとの購入資料がないと いうのは 実際に いついくら購入したのか という証明が できないという点では 今回の事案は 厳しい状況にある と言えるかもしれません。 わたし個人的には そもそも競馬自体が ギャンブルとしての 娯楽なので、 これを事業として 判断した 最高裁の判決自体に 疑問を 感じますが、 今回の裁判は 控訴するそうなので どうなるのか 見守っていきたいと 思います。 ご相談、ご不安なことが ありましたら、 お気軽に 中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。 セカンドオピニオンとしても 税務調査対策としても ご提案を致しております。