仕入先からの一方的なリベートは収益に計上すべきなのか!?【税務調査】
2019-07-08
土木建築業等を営む法人である 納税者は、 平成12年8月まで、 合資会社F社から 生コンを仕入れており、 当該仕入れにかかる 単価調整のための 割戻しとして すべての仕入先を 対象とする 仕入割戻金(通常リベート)と 大口取引先等の 特定の仕入先を 対象とする 仕入割戻金(特別リベート)を受け取り、 雑収入に 経理処理していた。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【納税者】、 平成9年12月27日に、 F社が 特別リベートとして 持参した 現金6,000,000円 を受け取っている。 しかし、 この時点では F社と 特別リベートについての 算定基準について 協議中の状態であり、 F社が 一方的に持参した現金を 受け取っただけである。 特別リベートの金額は 確定していないのだから、 確定するまでは 益金の額に 算入する必要はなく、 仮受金として 処理するのが 妥当である。 平成6年5月1日以降の 特別リベートの 算定基準について、 納税者は F社に リベートの増額を 要求し続けており、 これは、 特別リベートの金額について、 平成12年9月18日付の念書で F社より 納税者の関与税理士に 調停を 申し入れてきたことからも、 平成9年2月1日から 平成10年1月31日までの 事業年度 (以下「本件事業年度」という) において、 特別リベートの金額が 確定していなかったことは 明白である。 よって、 平成9年12月27日に 受け取った 6,000,000円 (以下「本件金員」という) について、 本件事業年度において 仕入割戻金として 益金算入する 義務はない と主張した。 【税務署】、 納税者は、 平成9年2月1日から 平成12年1月31日までの 税務調査対象期間中に 本件金員以外にも 通常リベートと 特別リベートを 合わせて 何回も受領しており、 そのほとんどを 現金又は振込によって受領し、 その都度 雑収入として 経理処理しており、 仕入割戻金の決済は 現金等によって いたものと 認められる。 よって、 平成9年12月27日に 受け取った 6,000,000円 についても 納税者が 現金で受領し、 事務所内にある金庫に 保管していることが 平成12年9月12日に 確認されていることから、 仕入割戻しに係る取引が 成立しているもの と認められる。 また、 納税者は、 本件金員を 本件事業年度において 雑収入に計上せず、 除外することにより 所得を 過少に算定して 法人税申告書を 提出していると 認められる。 このような行為は 国税通則法68条1項に規定する 事実の全部又は一部を 隠ぺいし、又は仮装し、 その隠ぺいし、又は仮装したところに 基づき 納税申告書を 提出したときに 該当するので、 加重算税の賦課決定処分は 適法である と主張した。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── どちらの主張が 正しいのでしょうか? いきなり、裁決を見るのではなく これはどういう判決になるか すこし考えてみてください。 税務というと 決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、 そもそも税法に則った判断処理のこと なのです。 その判断処理を間違えると 払う必要のないキャッシュが 会社から失われてしまう可能性があります。 この判断処理を 今まで間違っていた納税者の割合や なんと7割以上(国税庁のHPより) 判断処理 大丈夫ですか? 本来の裁判判決は 難解で読むづらいものになっていますので、 読みやすいように多少 書き換えています。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【裁判官の裁決】、 納税者は、 本件金員は F社との 特別リベートの単価について 話し合い中に、 一方的に F社の社長が持参し 置き去ったものであり、 当該単価が 確定していないから 特別リベートではない旨を 主張している。 仕入割戻しとは、 ある一定期間に行った 多額の又は多量の仕入れに対して、 仕入先からの 返戻金(リベート)をいうものであり、 その計上期間については、 法人税基本通達2ー5-4で、 (ⅰ)その算定基準が 購入価額又は購入数量によっており、 かつ、 その算定基準が 契約等で明示されている場合には、 購入した日の属する事業年度、 (ⅱ)それ以外の場合には、 その仕入割戻しの通知を受けた日の 属する事業年度 とする旨が定められている。 本件の場合、 納税者とF社との間で 特別リベートの 算定基準についての 契約等がなかったことは 明らかであるが、 平成9年12月27日に F社が Hに本件金員を手渡した際、 平成6年5月から 平成9年3月までの 期間の 特別リベートの 支払通知があったと 認めるのが 相当である。 よって、 本件金員は 仕入割戻金として 本件事業年度の益金の額に 算入しなければならない。 また、 このことが 国税通則法68条第1項に規定する 仮装、隠ぺいに 当たるかであるが、 納税者とF社の間には 特別リベートの金額についての 協議が整っておらず、 納税者が受領した金員が 自己に帰属するとの 認識はなく、 また金額が未確定なのだから 本件金員は 預り金にすぎないとして 帳簿上に計上しなかったのは 単なる誤解に基づく 計上漏れであり、 また金庫に 現金を保管していた点も 6,000,000円という 金額の大きさからも 盗難等の防止のためであり、 隠匿しようとしたものはないと 認められ、 仮装、隠ぺいには 当たらないといえるので、 重加算税の賦課決定処分のうち、 過少申告加算税相当額 を超える部分の 金額について 取り消す とした。 「国税不服審判所 平成13年7月9日判決」 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 返戻金(リベート)の計上期間が 契約に明示されていない場合は、 その仕入割戻しの通知を 受けた日 となります。 その通知を受けた日とは 一方的に持参した現金を 受け取った場合でも それが 返戻金(リベート)だと わかっていた場合は 通知を受けたと 認識して その事業年度で 収益計上しなければいけません。 ご相談、ご不安なことが ありましたら、 お気軽に 中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。 セカンドオピニオンとしても 税務調査対策としても ご提案を致しております。