「債務超過や相当の理由」とはどういう状況になっていることなのか!?【税務調査】

2019-07-09
元本と利息の回収が
客観的にみて
極めて回収が困難な状態にあって

利息も元本も回収不能となる
可能性が高い場合には

利子のうち
該当事業年度に係るものは

法人税基本通達2-1-25で、

益金の額に
算入しないことができる
と定めている。


そのための要件が
次のいずれかに当たる場合である。


① 債務者が債務超過に陥っていること
  その他相当の理由により、
  その支払を
  督促したにもかかわらず、
  一定期間の利子が
  未収となっていること

② 債務者が更生手続きが開始されたこと

③ 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、
  事業好転の見通しがないこと等の事由により、
  貸付金の全部
  又は相当部分について
  その回収が危ぶまれること

④ 更生計画認可の決定、
  債権者集会の協議決定等により
  貸付金の全部
  又は相当部分について
  相当期間
  棚上げされることになったこと


今回の裁判は
この利息も元本も回収不能となる
可能性が高い場合
に該当するかどうかを

争った
内容である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

代表取締役Hに対する
貸付金には、

次の理由から
本件通達①又は③の
事実が生じている。


よって、
本件各事業年度
(平成6年1月1日から平成6年12月31日と
 平成7年1月1日から平成7年12月31日までの
 各事業年度)
の所得金額の計算上、

その期間の利息を
益金の額に
算入しなかったことは
適法である。

(i)納税者の株式を
 類似業業種比準方式で
 評価すると、
 Hは債務超過の状況となる

(ⅱ)時価の下落を考慮すると、
 Hが所有する
 土地の価格は
 明らかに下落している

(ⅲ)本件貸付金返済のため、
 Hは有価証券を売却し
 330百万円を返済したが、
 その他の資産は
 処分が難しいため、
 処分による返済は
 困難である

(ⅳ)Hの収入は、
 納税者からの報酬と
 地代家賃と
 他1社からの
 報酬のみである。
 地代家賃は
 すべて本件貸付金の
 返済と利息の支払いに
 充てられているが、
 返済額は
 元本に比べて
 少額である


納税者の株式の評価方法についてだが、

納税者が発行する株式は
非上場株式であり、

売買実例、
比準会社と
気配相場もないため、

法人税基本通達9-1-14の
上場有価証券等以外の
株式の価額の特例を
適用することとなる。

納税者の規模区分は
大会社に当たるので、

類似業種比準価額によって
評価すべきである。


なお、
仮に純資産価額方式で
評価する場合には、
Hの支払能力がないことを考慮し、
Hに対する
貸付金と未収利息については
実態に合った
評価をすべきである

と主張した。



【税務署】、

次の理由により、

納税者の代表取締役Hに対する
貸付金は、

本件通達の内容には
該当しない。


よって、
該当貸付金に係る利息を、
本件各事業年度の
所得の金額の計算上
益金の額に
算入すべきである。

(i)納税者は
 株式の評価に当たって、
 評価差額に対する
 税金分を控除しているが、

 本件は
 会社の清算を目的とした
 株式評価ではないため
 該当金額は
 控除すべきでない。

 Hは債務超過の状況にあるとは
 認められない

(ⅱ)確認の結果、
 債務超過に陥っていること
 その他相当の理由があるとは
 認められない

(ⅲ)本件貸付金が増加したのは、
 納税者が、
 十分な担保も取らず
 Hに貸付を続けた上、

 Hに支払う報酬や
 H所有の不動産の処分から
 返済を受ける等、

 貸付金の積極的な回収努力を
 行わなかったことに
 起因する。


本件における株式の評価は、
会社の清算を
目的としてものではなく、

Hが
債務超過の状況にあるかどうかを
判断することが
目的である。


該当株式は
非上場株式であり、
売買事例も
類似する比準法人もないことから、

純資産価額方式により
評価すべきである。


また、
その際、
Hに対する債権に対する
債権償却特別勘定の設定や、

評価差額に対する
法人税等相当額の控除は
行うべきではない

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

本件通達4項目のうち、
本件に対し
検討を要するものは、
①、③の
二つである。


いずれの場合も、
元本そのものが
不良債権化した場合を指し、

そのような状態を表す
一つの指標が
債務超過である。


なお、
この場合、
債務超過であるかどうかは

Hの返済能力を
実質的に
判断すべきである。


まず、
①について検討すると、
土地の下落を考慮しても
資産超過の状態となり、
債務超過の状況
にあるとはいえない。


また、
「その他相当の理由」があるか否かについて
検討しえみると、

Hは
納税者株式以外の
有価証券と
相当な不動産を所有しており、

本件貸付金の返済や利息の支払能力がないとは
認められない。


さらに
Hに資産や収入があるにも関わらず、

納税者は
Hに返済や支払の督促をしていない。


よって、本件通達①には該当しない。


次に、③について検討する。


①で検討したとおり
Hは債務超過の状況ではないから、

債務超過の状態が
相当期間継続しているとは
認められない。


また、
その他の事由により、
当該貸付金の元本と利息の回収が
危ぶまれているかというと、

Hには
資産も収入もあるため
そのような事実もない。


よって、③にも該当しない。
 

以上により、
本件利息は、

原則どおり
本件事業年度の益金の額に
算入すべきである。


納税者株式の評価については、

本件における納税者株式の評価は、
会社の清算を
目的としたものではない。


Hが債務超過の状況にあるかどうかを
実質的に判断するため、

同人が所有する資産の一つである
当該株式が
いくらかを
検討するために
行うものである。


当該株式は、
非上場株式であり、
売買事例も
類似する比準法人もないことから、

純資産価額方式により
評価すべきである。


また、
その際、
Hに対する債権に
債権償却特別勘定の設定や

評価差額に対する
法人税等相当額の控除は
行うべきではない

とした。

「福岡高等裁判所 平成13年11月15日判決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

法人税基本通達2-1-25は
例外的な取扱いを
示していて

こういった
例外的な取扱いを
適用する際は

証拠となる資料を
しっかりと
そろえておくことが
重要です。


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