住宅取得等特別控除に対する借入金債務の成立時期は居住開始の翌年なの!?【税務調査】

2019-07-25
納税者は会社員である。


平成元年分の
所得税の確定申告書に
給与所得の金額を
3,121,000円、

住宅取得等特別控除の額を
123,000円と

還付される税金の額を
123,000円と記載して、

平成2年3月15日に申告した。


税務署は、
これに対し、

平成2年6月27日付で
住宅取得等特別控除の額を
0円と

還付される税金の額を
0円とす
る更正をした。


納税者は、
これらの処分を不服として、

平成2年12月25日に審査請求をして

争った

事案である。


────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

納税者は、
本件家屋を

〇〇公庫からの借入金12,300,000円と
自己資金7,259,700円の
合計19,559,700円で取得し、

平成元年11月23日に
居住の用に供した。


そこで、
納税者は、
租税特別措置法第41条《住宅の取得等をした場合の所得税額の特別控除》第1項を適用して、

平成元年12月31日における
借入金残高の1パーセントに相当する金額
123,000円を
平成元年分の納税者の所得税額から控除し、

同年分の還付金の額に相当する税額を
123,000円として
申告した。


これに対し、
税務署は、

本件借入金に対する
金銭消費貸借抵当権設定契約は、

平成2年2月19日に
納税者と公庫との間で締結されているから、

本件借入金は
平成元年12月31日には存在しないものであり、

平成元年分において
住宅取得等特別控除をすることはできないと認定し
本件更正をしたが、

次に述べるとおり、
税務署のこの認定は
誤りである。


住宅取得等特別控除の対象となる
借入金に係る金銭消費貸借契約は、

要物契約としてより

むしろ諾成契約としての
金銭消費貸借契約であることを前提として、

公庫の融資実行日が
入居した年の翌年になる場合であっても、

年内に入居した者に対し
住宅取得等特別控除の適用を認める取扱いを行っている。


税務署は、むしろ、
本件契約に係る契約書作成以前に、

既に金銭消費貸借の当事者間で貸借の応諾と
その実行がなされているという実態に着目すべきであり、

かつ、
入居した日と最終資金の交付の日が
年をまたがったため、

入居年分についての控除が受けられないということでは、

納税者の理解が得難いとする
国税庁の見解を
いっそう重視する立場に立って、

金銭消費貸借契約書作成の日が
入居の翌年となった場合にも
住宅取得等特別控除の適用を認めるべきである。


したがって、
納税者の場合、
公庫との間における本件契約は
平成2年2月19日に行っているが、

公庫から平成元年7月13日付の融資予約通知を受け、
同年11月27日に融資基本約定書を公庫に差し入れ、

中間金4,860,000円の融資金を受領すると同時に
融資予約金12,300,000円の金額に対する
保証料の支払を行っていることから、

納税者が居住の用に供した
平成元年分から
住宅取得等特別控除の適用を認めるべきである

と主張した。



【税務署】、

納税者が本件家屋に居住したのは、
平成元年11月23日からである。


納税者は、
本件家屋を取得するに当たり、
次のとおり借入れを行った。
 

契約年月日	   借入先	借入金額	償還期間	償還方法
平成元年11月27日	公庫	4,860,000円	−	    一括償還
平成2年2月19日	    公庫	12,300,000円	300月(25年)	割賦償還
 

上記の公庫からの借入金のうち
4,860,000円については、

公庫と本件契約を締結し、
当該契約が実行されるまでの
いわゆるつなぎ資金の性格を
有するものであり、

その償還方法も一括返済となっている。


したがって、
当該借入金は措置法第41条第1項に規定する「借入金又は債務の額」
(契約において償還期間が10年以上で割賦償還の方法で返済するもの)
に該当しない。


また、12,300,000円については、
平成2年2月19日に納税者と公庫との間に、
本件契約が締結された。


住宅取得等特別控除について、
措置法第41条第1項は、

その取得等の日から
6月以内に居住の用に供した場合において、

その者が当該住宅の取得等に係る借入金
又は債務の金額を有するとき、

当該居住の用に供した日の属する年以後5年間の各年のうち、
合計所得金額が30,000,000円以下である年については、

その年分の所得税の額から、
その年の12月31日における
一定の借入金又は債務の額の合計額の
1パーセントに相当する金額を
控除すると規定している。


上記で述べた措置法第41条の規定に
前記の事実を照らしてみると、

本件家屋を住宅の用に供したのは
平成元年であり、

また、措置法第41条の適用の対象となる
公庫からの借入金の確定日は、

本件契約の締結日である
平成2年2月19日であることから、

納税者の場合、
本件家屋について平成元年分から
住宅取得等特別控除を適用することはできない。


なお、公庫の融資実行日が
居住の用に供した日の翌年になる場合において、

住宅取得等特別控除の適用を認めるとする取扱いは、

居住の用に供した年に
措置法第41条の適用の対象となる借入金に対する
金銭消費貸借契約を締結したが、

融資実行日が翌年となる場合に限られ、

本件のように金銭消費貸借契約の締結が入居の翌年となる場合は、
これに該当しない。


以上の理由により、
納税者の平成元年分の還付すべき税額は0円となるから、
本件更正は適法である

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

租税特別措置法第41条第1項に規定する借入金とは、

その年12月31日における
現実の借入金の残高と解するのが相当であるところ、

納税者の場合、
本件金銭消費貸借契約が成立したのは、

本件家屋に居住することとなった年の翌年であるから、

当該居住することとなった年分中には
借入金債務は成立していないというべきである。


なお、本件家屋に居住することとなった年の12月31日までに、

公庫からの融資予約通知の受領、
公庫への融資基本約定書の差し入れと
融資予約金に係る保証料の支払があったとしても、

これらはいずれも
本件金銭消費貸借契約を締結するための
準備手続とみるのが相当であるから、

当該事実があることをもって
本件金銭消費貸借契約が
成立したものとみることはできない

とした。


「国税不服審判所 平成4年1月17日裁決裁決」


────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

これは
納税者の
税法の読み間違いとしか
言いようがない
ものですね。


事実関係からすると
平成元年11月27日の4,860,000円の
借入金は一括償還で、

措置法第41条第1項に規定する「借入金又は債務の額」には
該当しません。


また、
金銭消費貸借契約の締結が入居の翌年となる場合にも

公庫の融資実行日が
居住の用に供した日の翌年になった場合ではないので、

住宅取得等特別控除の適用は
認められません。


当事者は
得てして
自分の都合の良いように

物事を考えてしまいがちです。


そんな時は
第三者の目や
専門家の知恵を
仰ぐようにしましょう。


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