マネキン報酬について、日額表乙欄、丙欄のいずれを適用する!?【税務調査】

2019-07-26
納税者中古物品販売業を営む同族会社である。


納税者は、全国各地の百貨店において、
そのフロアーの一画を借り切り、

1週間程度の期間ごとに、
「○○市(いち)」と称する催事を開催し、

貴金属、毛皮、呉服、時計、カメラ
その他の中古物品を
展示販売することを
業とする法人である。


納税者は、
このような営業形態の特質から、

百貨店等において
商品の宣伝、販売業務に従事する
職業婦人である
いわゆるマネキンなどの
宣伝、販売要員が必要となるため、

マネキンのあっせんを
目的とする
有料の職業紹介事業を行う者に依頼し、

マネキン紹介所から
マネキンの派遣を受けているほか、

必要に応じ、
臨時に店員を募集採用している。


そして、納税者は、
マネキン等に対し、
その役務の提供に対する報酬として
金員を支払っていた。


ところが、税務署は、

納税者には
所得税法第183条《源泉徴収義務》第1項にいう
給与所得に係る源泉徴収義務があるとして、 

納税者が
マネキン等に支払った金員のうち、

マネキンの
B女、C女、D女、E女、F女、G女、H女と

アルバイト店員の
J男に

支払った金員については、

法第185条《賞与以外の給与等に係る徴収税額》第1項第2号への規定に基づき、

法別表第五の給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の乙欄、 

同金員のうち、
B女ら以外の
マネキンの
K女ほかの
マネキン等に支払った金員については、

法第185条第1項第3号の規定に基づき、

日額表の丙欄と 

本件納税告知をした
ことについて

争った

事案である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

税務署は、

納税者が
マネキンに支払った金員について、

所得税基本通達204ー21
《給与等とすることができるモデルの業務に関する報酬又は料金》と

所得税個別通達
『マネキンが支払を受ける対価に係る所得税の源泉徴収について』に基いて、

法第28条《給与所得》第1項と
法第183条第1項に規定する給与等
であると
認定している。


しかし、
その金員は、
次のとおり、

マネキンが
百貨店における
商品の宣伝販売業務を
納税者から請け負い、

独立の事業として
納税者に提供した
労務の対価であるから、

給与等には該当せず、
事業所得または雑所得の
収入金額に
該当する。


納税者とマネキンとの間には
雇用契約は存在せず、

両者において
雇用または被雇用の
認識はない。


マネキンは、
職業安定法施行規則別表第二に明記されており、

マネキン紹介所に
プロフェショナルとして
登録した上、

同紹介所の紹介により
企業の要請する業務に就き、

その専門的職能を生かして
企業から請け負った役務を遂行し、

その対価として
報酬を得るものである。


マネキンに対する支払報酬は、

法第204条《源泉徴収義務》と
所得税法施行令第320条
《報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収》において、

源泉徴収の対象となる報酬
または料金として
明記されていない。


基本通達204ー21には、
「デパート等の職員の勤務の状態に
 類似しているものに対する
 報酬または料金については、
 給与等として源泉徴収をして差し支えない」
旨定められており、

この文言からすると、

給与等として
源泉徴収をするか否かは

支払者の裁量に
ゆだねられている。


仮に、
マネキンに支払った金員が
給与等に当たるとしても、

その報酬は、
事実上、
マネキン紹介所と納税者との交渉によって
決定されているから、

当該報酬に係る源泉徴収は
マネキン紹介所が
行うべきである。


納税者とアルバイト店員との間には、
雇用契約はなく、
定着性の保証もない。


納税者は、
単にアルバイト店員から
助力を受け、

その謝礼を
同人らに
支払っただけのことであるから、

かかる金員は、
給与等には該当せず、
アルバイト店員の
雑所得の収入金額と
すべきである。 


税務署は、
マネキン等に対する
支給金額の認定を誤っている。


B女らに支給した金員に係る
源泉所得税額の計算は、

次の理由から、
日額表の丙欄によるべきである。


マネキンは、
納税者と百貨店との間で
売出契約が成立した段階で、

その都度
納税者から
売出期間中の就業委嘱が行われるのであるから、

継続して
2月以上就業することは
あり得ない。


このことは、
納税者に対する
マネキン紹介所の請求書に
記載された請求期間が、

納税者が全国の百貨店において
開催する本件催事の開催期間ごとと
なっていることからも
明らかである。


令第309条《日払の給与等の意義》の
かっこ書の適用に当たっては、

1月の計算は、
その月の当日から
翌月のその日の前日までと
するのが相当である。


したがって、
暦の上で2月にまたがって
就労した対価を受ける
マネキン等があったとしても、

60日を超えて就労していない限り、

その対価は
同条かっこ書に規定する
「2月をこえて支払を受けるもの」
には当たらない。



納税者が
K女らに支給した金額は、

税務署が
認定した支給金額とは一致せず、

一部それを上回ることとなる。


したがって、
実際の支給金額が
税務署認定の支給金額を上回る者については、

本件納税告知に誤りがあるので
その全部が
取り消されるべきである

と主張した。



【税務署】、

納税者は、

納税者が
マネキンに支払った金員は
給与等に該当せず、

事業所得
または雑所得の収入金額に当たると

主張するが、

同金員は、
次の理由から

雇用契約に基づき
支払われた給与等に
該当することは
明らかであるから、

納税者には、
当該給与等に係る
源泉徴収義務がある。


マネキンの職務内容は、
百貨店の催物会場における

商品の販売と
これに付随する商品の荷造り、
発送等であって、

納税者の社員と
百貨店の従業員が行う
職務内容と同一である。


マネキンは、
本件催事に際しては

納税者の催事責任者の指揮命令に服し、

勤務場所、
勤務時間等の
拘束を受けている。


マネキンに対する支給金額は、

労働に従事した日数
または時間を
基準として
算定されており、

その労務の対価と
認められる。


百貨店における
商品の販売等のための費用は
納税者が負担し、

また、その業務上の責任も
納税者が負っているから、

マネキンが
納税者の業務を
請け負ったとは
認められない。


マネキンに係る納税告知は、

法第204条と令第309条の規定に基づくものではなく、

法第183条第1項と法第185条の
給与所得に係る源泉徴収の
規定に基づいて
行ったものであるから、

納税者の主張は失当である。


アルバイト店員の就労状況は、
上記のマネキンのそれと同様であるから、

アルバイト店員は
納税者に労務を提供し、

納税者から
その対価を受け取ったものと
認められる。


したがって、
納税者が
アルバイト店員に支払った金員は、

納税者との雇用契約に基づき
支払われた給与等に
該当するから、

納税者には、
当該給与等に係る
源泉徴収義務がある。


B女らは、
いずれも2月以上継続して勤務しており、

かつ、
納税者に対して
給与所得者の扶養控除等申告書を提出していないことから、

これらの者の給与等に係る源泉所得税額は、
日額表の乙欄を適用して計算した。


K女らは、

日々雇い入れられ、
かつ、
2月以上継続して勤務していないと
認められる者であることから、

これらの者の給与等に係る
源泉所得税額は、

日額表の丙欄を
適用して計算した

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

納税者は、
マネキンに支払った金員について、

マネキンの雇用期間が
継続して2月を超えないことから、

税額表は
日額表丙欄を適用すべきである旨を
主張するが、

当該マネキンの雇用期間の延長
または
再雇用により
継続して2月を超えて雇用されているものと
認められるか否かは、

マネキンが
一つの契約に係る就労を開始する日現在において、

過去2月間に就労しない日が
月当たりおおむね2週間以上ある場合は、
雇用期間は継続していないものと判断して
日額表丙欄を適用し、

それ以外の場合には、
それ以後明らかに雇用関係を打ち切ったものと
客観的に認められる
空白期間がない限り、

依然として
雇用は継続しているものと判断して
日額表乙欄を適用するのが相当である

とした。


「国税不服審判所 平成4年4月17日裁決裁決」


────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

マネキンに対する支払が
報酬に当たるか
給与に当たるかを
争ったものですが、

マネキンに対する
支払いは
給与となり

マネキンを
雇った側が
源泉徴収して
支払わなければなりません。


また、源泉徴収を
乙欄でするのか丙欄でするのかですが、

乙欄より丙欄の方が
税額が
少ないので、

もらう側も
丙欄の方が
嬉しいのですが、

過去2月間に就労しない日が
月当たりおおむね2週間以上ある場合は、
日額表丙欄を
適用して、

それ以外の場合には、
雇用は継続しているものと判断して
日額表乙欄を
適用することになります。


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