非常勤取締役に対する役員報酬を類似法人から算出!?【税務調査】

2014-07-15

非常勤取締役に対する役員報酬は、
実際に働いた労働時間や売上から求めることができず
いくらまで払ってよいのかが
不明確です。

それなら、
類似法人から算出して
非常勤取締役に対する役員報酬額を
決めた場合の金額は
適正なのか?
ということについて
考えてみましょう。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
建築業を営む審査請求人(以下「請求人」という。)

請求人は、非常勤取締役である代表者の母に対する適正報酬額は、
当該取締役が代表取締役のよき相談相手として経営に参画していることから、
請求人の従業員に対する給与の支給額を参酌して
算定することが最も妥当であり、
税務署が不相当に高額な部分として
損金の額に算入できないとした額は
過大であると主張する。

しかしながら、法人税法施行令第69条第1号に照らしてみると、

[1]よき相談相手というのも客観性・具体性に欠け、
   その裏づけとなる確たる証拠資料はないこと、
   また、当該取締役には決められた仕事はないこと、

[2]特定の従業員の給与の支給額に照らすことについては、
   当該従業員の職務の内容や勤務の状況等を明らかにしないこと
   及び請求人の収益の状況如何にかかわらず
   本件取締役の職務の内容からして、
   当該従業員に支給されている給与額をもって
   その根拠とならないこと、

そして、

[3]税務署が、請求人と業種、事業規模などが類似し、
   請求人の所在する地域の非常勤取締役が存する法人を選定したこと
   及び当該類似法人に存する非常勤取締役に支給された
   年間報酬額の平均額をもって
   本件取締役に対する適正報酬額を算出した方法は
   妥当なものと認められることなどを勘案すると、

税務署が、本件役員報酬のうち、
不相当に高額な部分として算定した金額は相当と認められる。

「平成17年12月19日裁決」
─────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
今回の裁決は、
非常勤取締役の役員報酬が
不相当に高額であるとして
請求人と業種、事業規模などが類似した法人の
非常勤取締役に支給された
年間報酬額の平均額から
適正報酬額を算出するべきだという
裁決となりました。

この裁決でのポイントは
相談事項などの証拠書類が準備できていなかったことが
敗訴の要因です。

もし高額な役員報酬を支払う際には
なぜその金額になるのかを
証明できる書類の作成が
必要になります。

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