役員給与の減額理由が業績悪化改定事由とは・・・!?【税務調査】
会社の業績が悪化したため
やむをえず
役員の給与を減額した。
それなのに、改定前の役員給与額と
減額した役員給与額との差額は
損金の額に算入できないという。
定期同額給与に該当する役員給与の減額理由が
業績悪化改定事由に該当するのかしないのかの
存否を判断した
裁決です。
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役員給与のうち、
定期同額給与、事前確定届出給与及び利益連動給与
のいずれにも該当しないものの額は、
損金の額に算入されないこととされている。
このうち、定期同額給与とは、
各支給時期における支給額が同額である定期給与のほか、
支給額の改定があった場合において
一定の要件を満たす定期給与をいう。
会社は、決算月(平成20年7月)の2か月前において、
経常利益が対前年比で6%減少している状況から、
代表取締役の給与を減額改定した。
会社側は
このことは定期同額給与の範囲等に規定する
役員給与の減額に係る業績悪化改定事由に該当すると主張した。
一方、税務署側は
定期同額給与の範囲等に規定する業績悪化改定事由とは、
法人の経営状況の著しい悪化その他これに類する理由により
やむを得ず役員給与の額を減額せざるを得ない事情があることをいう。
本件は、
本件事業年度の売上高、経常利益は過去の業績と比べて何ら遜色がないこと、
会社が設定した業務目標を達成できなかったことが減額の理由であること等
からすれば、
業績悪化改定事由があるとは認めらない
と主張。
裁判官は、会社が設定した業務目標を達成できなかったことを減額の理由として
役員給与を減額したことは
業績悪化改定事由に該当しないとして
改定前の役員給与額と
減額した役員給与額との差額は
損金の額に算入できない
と判断した。
「平成23年1月25日裁決」
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経営状況の悪化に伴い、
第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、
役員給与の額を減額せざるを得ない事情によって
減額改定をした場合の
改定前に支給する役員給与と改定後に支給する役員給与は、
それぞれ定期同額給与に該当します。
「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、
経営状況が著しく悪化したことなど
やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情が
あることをいうとされています。
これに当たるかどうかは、
会社の経営上、
役員給与を減額せざるを得ない客観的な事情があるかどうかにより
判定することとなります。
ここで重要なことは『客観的な事情』です。
会社側の主観的な考えでの経営状況の悪化という判断は
この「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」
に該当しません。
経営状況の悪化に伴い、
第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、
役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、
客観的な事情となります。
対税務調査対策には
役員給与に限らず
客観的な判断を下せる
資料や事情の準備が必要になります。