役員の分掌変更の翌事業年度に支払われたお金は退職金にならない!?【税務調査】
役員の分掌変更の翌事業年度に支払われたお金が
支給実態(支払時期、分割払の理由)等によっては
役員退職給与とすることができるという例外適用があります。
しかし、退職後の役員への退職給与の支払いを
無条件に認めると不当な利益操作を行うことになりかねません。
分掌変更の時に支払われなかったことの場合の
例外適用がどこまで認められるのかの
合理的な理由を知ることができる
裁決です。
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会社側は、
役員の分掌変更に伴い退職慰労金を支給することを決定。
資金繰り等の都合から、
その一部を当該分掌変更のあった事業年度とその翌事業年度に
それぞれ支給した。
この手続きは
役員への退職給与として何ら問題がなく、
役員に対する退職給与の損金算入の時期としても適正であると
分掌変更の翌事業年度に支給された金員は
退職給与として取り扱われるべきである旨を主張。
税務署側は
分掌変更のあった事業年度とその翌事業年度に
支払った金員は
役員賞与と認定。
裁判官の裁決は、
本件における退職慰労金については、
株主総会議事録や取締役会議事録が存在せず、
請求人が主張する資金需要を認めるに足りる具体的な資料もない。
また、一部支払われた後の退職慰労金の残額については
支払時期やその支払額を具体的に定めず漠然と3年以内とされており、
請求人の決算の状況を踏まえて支払がされていることがうかがえる。
このことから、本件金員を
その支払日の属する事業年度において損金算入を認めた場合には、
請求人による恣意的な損金算入を認める結果となり、
課税上の弊害があるといわざるを得ない。
以上から、
本件分掌変更の時に本件金員が支払われなかったことが
合理的な理由によるものであると認めるに足りる証拠はなく、
本件金員を退職給与として取り扱うことはできないというべきである。
「平成24年3月27日裁決」
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
今回の裁決は
「役員の分掌変更の翌事業年度に支払われた金員を
役員退職給与とすることができる
支給実態(支払時期、分割払の理由)とは
どういうことか」
が明らかになった判例です。
例外適用を採用する場合、
会社にとって有利になることが多いです。
だからこそ、
例外適用を実行する際には
すべての要件の確認と
合理的な理由を証明する書類の準備が
大切になります。
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