代表取締役から取締役への分掌変更に伴う役員退職金は損金になる!?【税務調査】
分掌変更に伴い支給した役員退職金は、
税務上、よく問題になる案件です。
今回は、代表取締役から取締役への
分掌変更に伴い支給した
役員退職金が
損金になるのかならないのかを
争った裁決です。
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会社側は、
代表取締役から取締役への分掌変更に伴い
役員退職給与を支払った。
税務署側は、
今回の代表取締役から取締役への分掌変更は
実際は行われておらず、
今回の役員退職給与は
退職金ではなく
役員賞与にあたり
法人税の計算上損金に当たらない。
また、源泉所得税の徴収額も
間違っているため
追徴課税を行う
とした。
これに対して、
裁判官の裁決は、
[1]臨時株主総会議事録及び取締役会議事録等は
いずれも真正に作成されたものと認められないことから、
代表取締役辞任及び本件役員退職給与の支給についての
証拠資料とは認められない
[2]当該議事録の内容について所定の商業登記がされていない
[3]その当時当該代表取締役は高齢であったが、
著しく健康を害していたとは認められず
かつ、
他に定時株主総会まで従来どおり代表取締役としての執務ができない
特段の事情があったと認めるに足りる証拠資料がない
[4]取締役への分掌変更後における報酬の支給状況等からみて、
当該取締役が臨時株主総会時において
実質的に退職と同様の事情にあったとは認められない
したがって、
当該役員退職金は
分掌変更に伴う役員退職金には該当せず、
税務署の主張のとおり
役員賞与にあたり
損金の額に算入することはできない
とした。
「昭和56年6月23日裁決」
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今回の裁決は
「議事録、商業登記といった形式的な手続きも行っておらず
なおかつ、
代表取締役の分掌変更の理由や役員報酬の変更などの
実態もしっかりと説明できる状況を
整理していなかったことが
会社側の完全敗訴」
になりました。
代表取締役から取締役への分掌変更に伴う役員退職金が
完全に損金の額に算入にならない訳では
ありません。
あくまで実態がどうなのか?
そして、それを
しっかりと書面や手続きで
証拠作りをしているかといった
基本的なこと
こういった
シームレス(継ぎ目のない)な
ことを実行しておくことが
大切です。
ご不明な点は
お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで
お問い合わせください。