卒業祝賀パーティー費用は交際費になるのか!?【税務調査】
2014-11-28
納税者は
教室業等を営む法人。
受講生に各講座の免状を授与する際に
年2回ほど
全国7ヶ所のホテルを会場として
各地で卒業式を行っている。
卒業式には
全過程を終了した者のうち、
免状取得申し込みをして
免状料を支払った者が
出席できる。
その卒業式での
パーティーにかかる昼食費用が
交際費になるかどうかを
争った
裁判です。
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【納税者】は、
卒業式は
長時間にわたり、
かつ昼食時間をまたがって行われることから
出席者に対して
昼食を提供しているにすぎず、
卒業生を接待するために
昼食を提供しているものではない。
また、その昼食の内容は
社会通念上必要な程度のものであり、
昼食時に提供される酒類は
乾杯のために供される
小さなシャンパングラス1杯の
シャンパンのみである。
したがって、卒業式費用のうち
パーティーにかかる昼食費用は
交際費に該当しない
と主張した。
【税務署】は、
納税者は
卒業生を卒業式の出席資格者としていることから
卒業式費用の相手方は
事業関係者であると
認めれられる。
また、卒業祝賀パーティーと題して
出席者に酒食の提供が行われていることから
その目的は
供応、接待のために行われていると
認めれられる。
卒業式を行うための費用を
広告宣伝費に計上しているが、
卒業式費用のうち
パーティーにかかる
昼食費用等は
交際費に該当する
と主張した。
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いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
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【裁判官の裁決】は、
昼食等の費用が
交際費になるかどうかは
以下の3要件に該当するかで
判定することとなる。
1、支出の相手方が事業関係者等であること
2、支出の目的が事業関係者等との間の親睦の度を
密にして取引関係の円滑な進行を図るためであること
3、支出の原因となる行為の形態が接待等であること
1の要件は満たしているが
2と3については
食事の内容、1杯の酒をもって
接待等に該当するものとまでは
いうことはできない
として
更正処分を全部取り消す
とした。
「平成20年4月25日判決」
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交際費の判定は
東京高裁平成15年9月9日判決の
萬有製薬事件から
上記の3要件に該当するかどうかが
一つの判断基準となりました。
このような判例が出たからといって
杓子定規に
この基準に該当するかどうかを
当てはめた
税務署側の主張は
いかがなものかと
思います。
乾杯のシャンパン1杯で
交際費には
さすがにならないでしょう。
しかし、この経費の計上を
広告宣伝費というのも
すこし違う気がしますが。。
いずれにしても
税法上の細かい基準といったものは
法律でしっかりと記載されているものは
ほとんどなく、
判例や社会通念上で
考えなければいけないことのほうが
多いものです。
そのためにも
より多くの判例を知り
より多くの社会経験を積んでおくことが
重要なのです。
ご不明な点は
お気軽に中島税理士・行政書士事務所まで
お問い合わせください。