製品の修理にかかる請負収益の計上時期はいつ!?【税務調査】
2014-12-10
納税者は
3月決算法人。
納税者は
T社とS社との間で販売した
製品の修理等のサービスを
代行する
請負契約を締結し、
その契約に基づき
製品を修理して
その対価を
売上として
計上していた。
納税者は
取引先の請求締日が
15日締めと20日締めになっている部分を
締後売上計上せず、
翌期の売上として
計上していたところ
税務調査で
売上計上漏れと
指摘された。
この売上は
各事業年度中に計上すべきか
各年度4月に計上すべきかを
争った
裁判です。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
【納税者】は、
売上に相当する
役務の提供の債権の発生は
納税者が取引相手に
計算書を
提出し
かつ、
相手先が内容をチェックして
初めて
債権が確定的に
発生するものであり、
単に役務の提供が終了すれば
債権が発生するわけではない。
仮に
役務提供時に
債権が発生するとすれば
納税者を含め
すべての企業は
税務申告のために
年度末の処理で
そのすべての
役務終了時を
確認しなければならないことになり、
その事務量は
膨大なものになる。
よって、
売上計上時期は
役務の提供後、
取引相手が計算書を送付し
相手先が
内容をチェックした時点で
発生する
と主張した。
【税務署】は、
請負代金は
役務の提供時に
支払請求権が発生する。
本件役務の提供は
各事業年度において
完了しているのであるから
当然
代金請求権は
成立しており
売上計上漏れ額を
各事業年度に
計上するのは
適正な処理である
と主張した。
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
どちらの主張が
正しいのでしょうか?
いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。
税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。
その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。
この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)
判断処理
大丈夫ですか?
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
【裁判官の裁決】は、
請負代金債権は
その支払時期が到来して
初めて
収入になるのであるから
この時に
収益計上することが
適正な会計処理である。
請負代金の収益計上時期は
物の引渡しを要する時は
仕事の目的物の引渡しと同時で
物の引渡しを要しないときは
仕事の終了時である。
よって、
製品の修理を代行する
請負契約は
目的物の引渡しを
要しないものであるから
その収益計上は
各事業年度中に計上
すべきである
とした。
「平成元年9月22日裁決」
────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────
納税者は
請求書送付の行為までを
含めて
役務提供の完了
と考えたのですが、
計算書送付という行為は
単なる代金の請求行為であって
検収という
意味をもっているのではない
と考えられる。
もし請求書送付日が
収益計上日になるのなら
収益計上を
いくらでも
操作することが
可能となります。
したがって
実際に
仕事の終了した時に
収益計上するべきとした
裁判官の判断は
極めて妥当なものであったと
言えます。
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