令和3年度税制改正大綱によって法人の節税策はどう変わるのか!?【税務調査】
2021-07-06
2020年12月10日(木)、 自由民主党・公明党は 「令和3年度税制改正大綱」(いわゆる与党大綱)を公表しました。 近年、 生命保険の損金算入額の限度額の改定など 法人での節税策は かなり限定されてきています。 ですので、 本日は税制改正大綱の中でも 法人税の税額控除や特別償却として利用できる制度について 解説していきます。 〇複数の施策で 企業のDX投資・M&Aを後押し 企業内・企業間でのクラウドを使った データ連携などDXを推進する企業に対して、 減税措置(デジタルトランスフォーメーション投資促進税制)が創設される。 具体的には、 産業競争力強化法の改正を前提に、 青色申告書を提出する法人で 同法の「事業適応計画(仮称)」について認定を受けたものが、 同法の改正法の施行日から令和5年3月31 日までの間に、 その事業適応計画に従って実施される 産業競争力強化法の事業適応の用に供するために ソフトウェアの新設若しくは増設をし、 又はその事業適応を実施するために 必要なソフトウェアの利用に係る費用の支出をした場合には、 次の適用が可能となる。 ① 取得等をして国内にある事業の用に供した 事業適応設備の取得価額の30%の特別償却、 又は、その取得価額の3%の税額控除 ② 上記の繰延資産の額の30%の特別償却、 又は、その繰延資産の額の3%の税額控除 なお「事業適応設備」とは、 事業適応計画に従って実施される事業適応 (生産性の向上又は需要の開拓に特に資するものとして主務大臣の確認を受けたものに限る) の用に供するために新設又は増設をするソフトウェア並びに、 そのソフトウェア又はその事業適応を実施するために必要なソフトウェアとともに 事業適応の用に供する機械装置及び器具備品をいう。 〇一方、 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の 特別償却又は税額控除制度は、 所要の経過措置を講じた上、 1年前倒しで令和3年3月31日をもって廃止される。 〇来年3月末で期限切れを迎える特例措置のうち、 「賃上げ・生産性向上のための税制(大企業向け)」 及び「所得拡大促進税制(中小企業向け)」については、 令和5年3月31日までの2年延長とともに、 コロナを契機とした第二の就職氷河期を生み出さないため、 前者(大企業向け)は2年間の時限措置として、 現行「継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率3%以上」としている要件を 「新規雇用者給与等支給額の対前年増加率2%以上」とし、 教育訓練費に係る上乗せ措置の要件を緩和するなど、 賃上げだけでなく 新規雇用にも重点を置いた制度へ見直す。 後者(中小企業向け)についても、 従来の①雇用者給与等支給額が前年を上回ること、 ②継続雇用者給与等支給額の1.5%以上増加という要件を 「雇用者給与等支給額が1.5%以上増加」 という要件に見直される。 〇また同様に来年3月末が期限となっている中小企業向けの主な特例措置のうち、 「中小企業者等の法人税率の特例(19%→15%)(措法42の3の2)」については 令和5年3月31日までの2年延長、 「中小企業防災・減災投資促進税制(措法44の2)」は 対象資産の見直し等を行い2年延長、 「中小企業経営強化税制(措法42の12の4)」は 「経営資源集約化設備(※)」 を追加した上で2年延長される。 (※) 計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が 一定以上上昇する経営力向上計画を 実施するために必要不可欠な設備をいう。 〇なお「中小企業投資促進税制(措法42の6)」については、 「商業・サービス業・農林水産業活性化税制(措法42の12の3)」と統合した上で 2年延長されることとなった。 具体的には、 中小企業投資促進税制について以下の見直しが行われる。 ① 対象となる指定事業に次の事業を加える。 イ 不動産業 ロ 物品賃貸業 ハ 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る) ② 対象となる法人に商店街振興組合を加える。 ③ 対象資産から匿名組合契約等の目的である事業の用に供するものを除外する。 〇上記に伴い、 平成25年度改正で創設された 「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」は 適用期限の到来をもって廃止となる。 〇法人税関係では他に、 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例のうち 「過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置」が 適用期限(令和3年3月31日)の到来をもって廃止されるほか、 一括評価分の貸倒引当金を計算する際に 中小企業者等のみ認められている法定繰入率のうち、 「割賦販売小売業並びに包括信用購入あっせん業及び個別信用購入あっせん業」に係る 「1,000分の13」(措令33の7④四)を「1,000分の7」とする見直しが行われる。 いろいろと改正がありますが、 法人税については 以下だけ認識して 後は、継続と覚えていれば十分だと 思います。 デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設 以下の制度は令和3年3月31日で廃止 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置 ご相談、ご不安なことが ありましたら、 お気軽に 中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。 セカンドオピニオンとしても 税務調査対策としても ご提案を致しております。港区六本木の中島祥貴税理士事務所 〒106-0032 東京都港区六本木4-1-1 第二黒崎ビル6階 0120-535-114(平日9:00~18:00)
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