パナマ共和国の現地法人の所得を日本法人と合算することができるのか!?【税務調査】

2019-06-11
納税者は、
海運業を営む株式会社で、

外航船運搬事業において
いわゆる便宜置籍船保有のため

パナマ共和国に
現地法人を
合計8社(以下、「原告パナマ法人」という)設立し、

各々船舶を所有し
運行させていた。


納税者は、
これら原告パナマ法人の
損益の額のすべてを

いずれも
納税者の所得金額の計算上
合算して法人税の
確定申告をしていた。


ところが、
税務調査において

日本橋税務署長は、

原告パナマ法人は
租税特別措置法66条の6第1項(いわゆる「タックス・ヘイブン対策税制」)
が定める
「特定外国子会社等」に該当し、

同条3項が定める
適用除外の適用がないため、

課税対象留保金額を
益金の額に算入すべきであるとして、

当初合算していた
原告パナマ法人の所得を
減額するとともに、

所得の金額の増額更正処分と
過少申告加算税
決定処分したことについて

争った

裁判である。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】は、

原告パナマ法人は、
納税者が外航船の便宜置籍を
取得するために
設立されたにすぎず、

いずれも
形式的には
法人格を有するものの

納税者が
すべての事業活動を
行ってきた。


また、仮に、
原告パナマ法人が
実体を有する主体であるとしても、

納税者と原告パナマ法人は、
船舶の運航に伴う損益等が
納税者に帰属する旨を
合意していたから、

原告パナマ法人の損益等は、
実質的には
納税者に帰属していたと
みるべきである。


そして、
法人税法11条(実質所得者課税の原則)では、

資産又は事業から生ずる
収益の法律上帰属すると
みられる者が

単なる名義人であって、

その収益を享受せず、
その者以外の法人が
その収益を享受する場合には、

その収益は、
これを享受する法人に
帰属するものとする旨を
定めている。


上記の事情に照らせば、
原告パナマ法人は
まさに上記の「単なる名義人」にすぎないから、

そもそも租税特別措置法66条の6は適用されず、
原告パナマ法人に生じた欠損金は
納税者の損金に算入されるべき
である

と主張した。


【税務署】は、

原告パナマ法人のように
いわゆる便宜置籍船を保有して
海運業を営むために設立され、

当該国の船籍を
取得した
外国関係会社については、

船籍取得が
法人の存在意義であるところ、

法人格が有効に存在しなければ
船籍を取得、保有することはできないから、

船籍を取得し、
保有していたという事実から
法人の実体を有すると
することができる。


原告パナマ法人は、
船舶という高額の資産に係る
契約行為を自ら行っていたり、

船員を雇用して
船員費の支出をしているのであるから、

法人としての実体があることは
明らかであり、

そうである以上、
傭船料等の収益や、

給料等の費用は、

当該契約の相手方である
原告パナマ法人に
帰属するのであるから、

納税者が主張する
上記の合意があったとしても、

そこから原告パナマ法人の損益が
納税者に帰属することには
ならない

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】は、

納税者は、
租税特別措置法66条の6の適用によって

法人税法11条の適用が
排除されると
解すべき
法的根拠はないと
主張している。


しかしながら、
租税特別措置法66条の6は、

外国法人を利用することによる
租税回避行為を防止して
税負担の実質的公平を図るため、

課税対象留保金額を
内国法人の益金の額に
算入することとした

例外的かつ創設的な
規定である。


このような
租税特別措置法66条の6の
制定経緯等に照らせば、

上記のとおり、
本件について
租税特別措置法66条の6が適用される以上、

原告が主張する
法人税法11条(実質所得者課税の原則)が
適用される余地はない

とした。

「最高裁判所平成20年4月25日判決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

通常、
租税特別措置法と
法人税法ですと、

法人税法の方が
上位の法律なので

法人税法の方が
優先されます。


しかし、
例外的かつ創設的に規定された
租税特別措置法に
該当する事案の場合は

法人税法で
規定されていたとしても

租税特別措置法が
優先されます。


今回の裁判は

法人税法の方が
上位の法律なのを
知っていたが故に

法人税法11条が適用されるべきと
主張していたのかも
しれません。


ただ、
租税特別措置法の
制定経緯なども
勘案して
判断する必要があるのは

言うまでも
ありません。


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